市場に依然根強い「1月解除」説
日銀はマイナス金利解除急がず?
金融市場では、日本銀行がマイナス金利解除を、早ければ2024年1月22・23日に予定される金融政策決定会合や、遅くとも春闘の賃上げ状況がわかる4月決定会合で決めるとの見方が根強い。
だが「1月解除」の予想は、緩和維持を決めた23年12月の決定会合後の植田和男総裁の発言で完全に根拠を失ったと筆者はみている。
予想の根拠になった「チャレンジング発言」や、会見で質問された「米FRB(連邦準備制度理事会)の利下げ前の日銀の利上げ」をいずれも否定した総裁発言は、金融政策正常化に踏み出す時期についての市場の予想との距離を改めて感じさせるものだ。
24年はFRBが早ければ春にも利下げをするとの見方がある中で、すでにイールドカーブ・コントロール(YCC)の「運用柔軟化」で今の緩和政策の最も懸念する副作用問題への対応を済ませた日銀にとって、円高急伸のリスクのあるマイナス金利解除を急ぐ必要はない。
マイナス金利解除の時期は、FRBの利下げが一巡すると見込まれる「24年後半」以降になる可能性が高い。