世界はより深刻な分断の瀬戸際
「権威主義国VS民主主義国」の衝突回避を
ロシアのウクライナ侵攻を契機にしたウクライナ戦争は泥沼化したまま2024年は3年目に入り、パレスチナのガザ地区ではイスラエルの激しい攻撃のもとで住民が悲惨な状況で新年を迎えることになった。だが世界は2つの戦争を巡っても各国の対応は一致せず、むしろ対立色を強めている。
いまの世界や国際情勢を語る際のキーワードは「分断」だ。2000年代以降、各国が相互依存関係で結ばれ新興国や途上国も成長の果実を得たグローバリゼーションの時代は終わりを迎えるということなのだろうか。
いまはグローバリゼーションとともに飛躍的に台頭した中国と米国との対立が時代の基調となり、24年の世界は「5つの分断」に振り回されることになりそうだ。ロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・パレスチナ戦争のほか、衝突の危機が続く朝鮮半島、中国と台湾の緊張関係、そして米国内の激しい党派対立だ。
この5つの分断はいずれも簡単な解がない。そして成り行き次第では、中国とロシアが先導する権威主義国家群とG7を中心とする先進民主主義国群のより大きく深い分断となっていく恐れもある。これは冷戦にとどまらず熱戦のリスクを秘めている。
世界は分断やその深刻化を克服できるのだろうか。