日本政府の発表に対するロシアの反応をどう読み解けばいいのか。プーチン大統領が「新年の辞」で初めて言及した「家族の団結」の意味とは?作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が読み解く。(作家・元外務省主任分析官 佐藤 優、構成/石井謙一郎)
日本から米国にパトリオット輸出
大手新聞はどう報じたか
昨年末、日ロ関係に携わる記者の質の低下を感じさせる報道がありました。日本政府が防衛装備の輸出ルールを緩和し、防空用の迎撃ミサイル「パトリオット」を米国に輸出すると決めたことに関して、です。「日本経済新聞」電子版は、以下のように報じました。
「米軍のみによって使用され、第三者に移転されることがないと確認済みだ」と述べた。
(12月26日)
日本政府は、供与したパトリオットがウクライナには提供されないという方針を明確にしました。ロシアが誤解しないように、細心の配慮がなされています。しかしそのことは、正しく報じられませんでした。
(日経新聞・12月27日)
(朝日新聞・12月27日)
他紙も似たり寄ったりで、外交的センスに欠ける記事が目立ちました。この件で第一に注目すべき点は、ザハロワ報道官の反応が、日本政府の決定から5日も後の27日だったことです。