2024年1月の日米株急騰は上昇相場の狼煙か、反落の分水嶺を円高リスクで判定Photo:PIXTA

2024年1月には、日米株がそろって急上昇した。速すぎる相場にはおのずと反落の力学も生まれる。しかし日米とも、この株価急騰が上昇相場のトレンドを進む狼煙(のろし)と考える理由がある。そして、日米株高を支えるマクロ環境として、米国の景気堅調、インフレ鈍化、ほどほど低めの金利水準が保たれるか否かの分水嶺では、円相場が明快なシグナルになろう。(楽天証券グローバルマクロ・アドバイザーTTR代表 田中泰輔)

年初の米株急騰劇の口火を
切ったエヌビディア

 2024年の株式相場は、米国のみならず日本も、チャレンジに値する妙味がある、そう身構えて23年後半を過ごしたが、一進一退のじらされる展開が続いた。それが24年早々から一気に相場は上放れ、トレンドの新視界をうかがわせている(図表1参照)。

 米国株は年明け急落して始まった。1月第1週を陰線で終え、24年の年間相場の厳しさを示す「アノマリー」などと(根拠がない見方)語る専門家もいた。しかし、上放れの口火を、やはり生成AI(人工知能)の旗手エヌビディア(NVDA)が切った。

 NVDA株は、23年8~12月には400~500ドルを行ったり来たりした。ローラーコースターのような展開だった。アナリストの中期目標株価は、生成AIチップの需要増を見込み、600~700ドル台が多く、中には800ドル、900ドル、さらに1000ドル超もあった。それにもかかわらず、500ドル台に進めず、目標は徐々に切り下げられつつあった。

 しかし、24年に入ってNVDA株は相場を一変させる存在となる。その過程を振り返りつつ、今後の相場を読むポイントを検証してゆく。