金利復活で家計は預貯金利息増「6.1兆円」のプラス影響、恩恵は高所得・高齢層に偏在Photo:PIXTA

4月にはマイナス金利解除?
24年は「金融正常化」が動き出す

「デフレ脱却」を掲げて10年余り続けられてきた異次元緩和が4月にも「正常化」に向けて動き出す見通しだ。消費者物価の上昇率は輸入物価のピークアウトで一時より鈍化したが、それでも日本銀行が掲げる2%物価目標を直近公表の昨年12月時点で21カ月連続上回っている。

「賃金と物価の好循環」の実現が政策変更のポイントとする日銀だが、今春闘も昨年を上回る高い賃上げ率になる可能性が高く、正常化に動き出す環境は整いつつある。

 日銀は今年初めての1月金融政策決定会合では政策変更を見送ったが、すでにイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の長期金利(10年国債利回り)は二度(昨年7月、10月)にわたる「運用柔軟化」で事実上撤廃され、4月決定会合ではマイナス金利解除に動く可能性が高い。

 短期金利はマイナス・長期金利はゼロという「金利のない世界」に住んでいた日本経済は久々に「金利のある世界」が到来することになる。

「金利復活」の影響は、家計と、負債が多い企業や輸出産業、政府では大きく異なるものになる。