2024年春闘、賃上げの機運高まるが
波及効果が及ばない構造が出来上がっている
今春闘は昨年を上回る勢いだ。労使交渉のスタートとして1月下旬に開かれた「労使フォーラム」では、経団連と連合の双方が「高い賃上げ実現」を掲げ足並みをそろえた。
注目されるのは3月半ば(13日)に予定される自動車・電機大手の集中回答だ。昨年は各社が軒並み労働組合の要求額に満額回答したが、今年の要求額は昨年を上回るところが多い。仮に集中回答日が満額回答になれば、多くの業種がこの自動車・電機の妥結額を参考にするので、春から夏にかけて追随していく流れができていく。
2023年春闘は、連合ベースで3.58%(含む定期昇給)と、バブル期が終わった頃の1993年の3.89%(厚生労働省調べ)以来の高い伸びだった。24年は連合が昨年の「5%程度」を上回る「5%以上」という賃上げ目標を掲げている。
着地が4%近くまでになれば大成功という印象になるだろう。
しかし、春闘だけを見て賃上げの大勢が決まると考えてよいのだろうか。筆者自身もそうだが、ニュースで毎年見る春闘の数字と、自分のこととしての賃上げにはすごく距離感を覚える。実際、23年も春闘は30年ぶりの高い賃上げ率になったが、全体で見ると賃上げ率は低いままだった。
あまねく春闘の成果が日本全体の就業者に共有されないことは、そこに何か障害のようなものがあって、春闘の効果が及ばない構造が出来上がっている可能性がある。これは筆者の直感だが、世の中の明るい変化が末端まで降りてこない構造こそが、デフレ構造そのものなのではないか。