高配当&高成長!新NISAで狙う日本株#2Photo:Hiroshi Watanabe/gettyimages

東京証券取引所は市場改革の一環として1月15日から、資本コストや株価を意識した経営を巡る取り組みを開示した企業一覧の公表を始めた。未対応の企業に圧力がかかる中、今はPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業でも、改善が見込める可能性は十分ある。そこで特集『高配当&高成長!新NISAで狙う日本株』(全20回)の#2では、新たに開示を行い、株高につながる潜在力を秘める中小型28銘柄を抽出した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

今は「PBR1倍割れ」だが
資本効率改善に期待感

「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」。こんな表題で、東京証券取引所が開示企業一覧の公表に踏み切ったのは、1月15日のことだ。昨年12月末時点で、株価上昇につながるような施策を開示している企業を対外的にリスト化した。その結果、最上位のプライム市場では、4割の企業が開示したとの実態が示された。

 なぜ、そんな異例の措置が講じられたのか。その背景は、東証と金融庁が策定して2015年6月に適用開始後、21年に改訂されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)にさかのぼる。これは、企業統治強化を通じて中長期的な企業価値向上を実現し、日本経済発展に寄与させるという成長戦略の一環で策定されたものだ。

 だが、実際には策定から長年たっても、株主を意識した経営の浸透には至らなかった。その証左となる代表的な指標の一つが、株価を1株当たり純資産で割って算出する「PBR(株価純資産倍率)」だ。

 PBR1倍割れは、「解散価値割れ」とも称される。これは、保有する資産と比べ株価が低く、会社が解散した場合にもらえる金額より株価の評価が低いということ。何しろ、22年には日本の主要企業でPBR1倍割れの企業が4割に上り、欧米に大きく劣後している。事態を重く見た東証は昨年3月、PBR1倍割れ企業に改善策開示を要請する方針を打ち出した。

 このような流れを後押しすべく、“追撃砲”となったのが冒頭の施策だ。東証が企業開示リストを公表した1月15日、日経平均株価は一時3万6000円台に乗りバブル後高値を更新。市場では、東証市場改革の本気度を垣間見るような相次ぐアクションが、株高に一役買ったとみられている。

 つまり、未対応の企業には今後も圧力がかかるわけだが、投資家にとっては、株高に動く銘柄を発掘する好機でもあるのだ。

 そこで次ページでは、今はPBR1倍割れでも、今後の改善に期待でき、東証の企業開示リストへ新たに載る可能性が見込めそうな銘柄を選出。今期が増配予想かつ経常増益予想、自己資本比率50%超という条件で、本業面も順調な伸びしろ抜群の中小型28銘柄を炙り出した。「新NISA(少額投資非課税制度)」では運用益が膨らむほど非課税枠の活用にうまみが出るだけに、個別株投資でも大いに検討に値するといえるだろう。