現代人は「慢性的で容赦ないストレス」に押しつぶされ、頭も肉体も、そしてメンタルも疲れ切っている。私たち人間が本来持つ「エネルギー」を取り戻すには、どうすればよいのだろうか? 本連載では、スタンフォード大学で人気講義を担当し、億万長者の投資家、シリコンバレーの起業家、アカデミー賞俳優のコンシェルジュドクターでもあるモリー・マルーフの著書『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から人生最高の時期を引き延ばし、生活の質を最大限に高め、幸福度を増し、慢性疾患の発症リスクを下げる「最新の健康法」を紹介する。

【医者が教える】「結局、何を食べるのがいいの?」と思う人が気をつけるべき食事の習慣とは?Photo: Adobe Stock

人によって効果的な食事習慣は異なる

 多くの人が私にこう質問する。

「雑食、肉食、草食、ヴィーガン食、パレオダイエット、ケトジェニックダイエットのどれを私は選ぶべきでしょうか?

 これに対して私は、「栄養摂取の分類や制限は好きではありません。流行を追うよりも、さまざまな動物や植物から、栄養素密度が高く、多様な栄養素を含むものを摂ることを重視すべきです」と答える。だからある意味、私は雑食支持派といえる。

 最適な食べ方について栄養学者や専門家の間で意見が分かれるのは、人によって効果的な食事法が異なることも理由のひとつだと思う。
 栄養学の分野は絶えず進化を続けており、代謝の健康や、適切な主要栄養素比率と食物調達をめぐる論争は絶えることがない。
 糖尿病などの代謝性疾患の治療を目的とした食事法に注目し始めたとき、複数のアプローチが効果を発揮することに私は気づいた。
 炭水化物の摂取とインスリン分泌を減らす高脂肪のケトジェニックダイエットと、脂肪の摂取を減らし、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー:長期血糖値のマーカー)を下げることでインスリン抵抗性の改善を図る低脂肪のヴィーガン食は、どちらも体重の減少につながった。

 ケトジェニックダイエットもヴィーガン食も、ホールフードの摂取を重視し、加工食品を排除して、食べすぎを制限するため、代謝の健康改善に効果があった。
 代謝性疾患の最大の元凶(超加工食品、ファストフード、精製炭水化物、揚げ物の植物油、加工肉、砂糖など)を制限すれば、あなたも代謝の改善を実感できるはずだ。

 人間が食料供給全体の変化に適応できることはわかっている。

 大事なのは食習慣を変えたら、それを維持することだ!

(本記事は『脳と身体を最適化せよ!──「明晰な頭脳」「疲れない肉体」「不老長寿」を実現する科学的健康法』から一部を抜粋・改変したものです。)