バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材#8Photo by Yoshihisa Wada

旧村上ファンド時代の2000年代からアクティビスト(物言う株主)として活動を続ける投資会社ストラテジックキャピタル代表の丸木強氏は今、「取り残された世界」を投資ターゲットとしているという。投資先企業の株価を上げるため、アクティビストの視線はどこに向けられているのか。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#8で、丸木氏に聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

今年も株主提案は増加か
丸木氏が感じる「変化」とは?

――今年の株主総会シーズンに向け、全体的な注目点を挙げるとすれば何がありますか。

 株主提案は増えると思いますね。特に一昨年ごろから会社に友好的でないファンドが取締役候補を提案し、例えばフジテックや東洋建設のように、実際に可決される事例が出てきた。そういうことがこれから増えるのかもしれない。

 それらは経営者側の不祥事などが原因かもしれませんが、機関投資家が「ファンドの主張も一理ある」と考えるようになったことが大きい。まだ経営者に味方しがちなバイアスはありますが、機関投資家もちょっとずつ変わりつつあると僕は期待しています。

――なぜ変わったと思いますか。

 一番大きな理由は、金融庁のプレッシャーがあるからでしょう。本来はアセットオーナーからのプレッシャーが一番効くべきだと思いますが、日本ではあまり育っていない。

――丸木さんが投資活動を始めた20年以上前と全然違い、機関投資家が話を聞いてくれるようになったと。

「全然」でもない。「ちょっとずつ」です。昔はアポも入らなかったですが、今は提案内容の説明を聞いてくれる。そのときに「応援します」と言ってくれた機関投資家が、実は株主総会でわれわれの提案に反対していたりしますが(笑)。

日本証券金融、京阪神ビルディング、ダイドーリミテッド、大阪製鐵、東亜道路工業……。ストラテジックキャピタルが大量保有を明らかにした銘柄は少なくとも10はある。丸木氏はどのような基準でこれらの株式取得を判断し、そしてどのように株価を上げていくのか。次ページで明らかにする。