業績好調な3メガバンクの株価は15年ぶりの高値圏に達している。遅くとも4月までには、マイナス金利政策の終了が確実視されており、今後も株価は底堅いという見方が大勢を占める。ただし、注視しておくべきポイントもある。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#13では、銀行株に投資する際に押さえておくべき重要視点を解説していく。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
マイナス金利解除を睨み
絶好調の3メガバンク株
「近年見たことのない水準だ」。あるメガバンク幹部は、自社の株価を確認しながら顔をほころばせる。
それもそのはず、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグル―プの3メガバンクの株価は、15年ぶりの高値圏に達しているのだ。
最大の要因は海外に続き、国内でも金利上昇が始まったことだ。企業への貸出金利が上がり、利ざや拡大によって増益が期待できる。
実際、3メガは投資家の期待を裏切らない業績をたたき出している。MUFGの2024年3月期第3四半期の純利益は1兆2979億円に到達。通期目標である1兆3000億円を9カ月間でほぼ達成してしまった。
「金利上昇による外国債券の含み損処理というマイナス要因はあった。ただ、利ざやの拡大や、株式市場の好転で政策保有株の売却が想定以上の利益をもたらすなど、プラス要因が上回った」(岡三証券の田村晋一アナリスト)形だ。
加えて、海外投資家の流入も株価高騰に拍車を掛けた。中国経済の先行きを不安視した台湾や韓国、香港などの機関投資家が、3メガ株に投資しているのだ。
24年春のマイナス金利解除は確実視されており、今後も銀行株好調は続くだろう。ただし、3メガ株の先行きをみる際に注視すべきポイントがある。右肩上がりで推移する株価に水を差す可能性があるそのポイントとは。次ページで解説していこう。