近づく?アメリカの利下げ
株価活況でも日米経済の内実に差
いま世界経済の鍵を握っているのは、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)が、いつどのように金利引き下げに転じるかだ。
この3年近く、コロナ禍やウクライナ戦争による資源価格などの急騰で歴史的なインフレが続いてきたが、ようやくインフレ率が鈍化、FRBがインフレ抑制から景気重視へと舵を切るタイミングが近づいている。
これを巡ってさまざまな予測や思惑が交錯し、株価や為替レートを大きく変動させている。これを象徴するのが、アメリカや日本などでも株価が歴史的な高水準になっていることだ。
日本では、FRBの緩和政策への転換や日本銀行が金融政策を正常化に踏み出すとしても緩和の方向は変わらいとの見方が、日経平均株価の最高値更新の大きな要因になっている。だがこの流れは続くのか。
アメリカの金融政策の行方を正確に予測することはできないのだが、将来を正しく見通すために、特に重要なのは、アメリカのインフレがどのように発生し、それをどのようにコントロールしたかの経緯を理解しておくことだ。この背後にある経済の状況も金融政策の対応も、日本の場合とは大きく異なる。
表向きは同じでも、いまの“活況”を生み出したものは全く違うことに注意する必要がある。