「工具界のアマゾン」などと称され、MRO(修理・整備)市場に特化したEC(電子商取引)企業として急成長を遂げてきたのがMonotaRO(モノタロウ)だ。工具通販のニッチ市場で牙城を築き、2023年12月期決算まで14期連続で最高益を更新。そんな同社は今年1月、12年ぶりのトップ交代で、41歳の田村咲耶氏を新社長に起用した。同氏は外資系戦略ファームのボストン・コンサルティング・グループ(BCG)出身である。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、MonotaRO初の女性社長となった田村氏に、コンサル時代に培った経験を今の職務にどう生かしているのかについて、中長期的な方針などと併せて語ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 竹田幸平)
急成長MonotaROのボスコン出身社長が
コンサル時代に得た「3つの経験」とは?
――1月から社長となったMonotaROでは、今後4~5年で売上高を現状のほぼ倍増の5000億円(23年12月期の連結売上高は2543億円)にする方針を掲げています。
事業成長を考える上でも、コンサルタント時代の力が生きているかもしれません。
今まで一つ大きい市場(間接資材調達市場)で考えてきたことの精緻化をしています。攻めていく市場を「スモール」「ミッド」「ラージ」と分解して、それに合わせた事業成長戦略やサービス設計、品ぞろえ、マーケティング戦略を作っていくのが事業成長の鍵ですね。
それによって売り上げを伸ばしていくのと、コスト的にもサービスを支える物流やオペレーションを作っていくところ。あとは将来の大きな成長に向けて、日本発のモデルであるMonotaROを海外に展開していく、という構図だと思います。
――まだ売上高の数%程度である海外事業の重要性も増していきそうですが、どのような戦略を考えていますか。
韓国やインド、インドネシアに展開していますが、やはりインド市場の存在は大きいと考えています。こちらはサプライチェーン上の課題やニーズの違いなどがあり、一歩ずつ作り上げていく必要があります。今は国のニーズや、そこで求められている価値を作っている段階ですね。
インドは、とにかく国土が広い難しさがあります。日本では狭いところで、(オーダーから)次の日には届けることができても、インドではそうはいかない。規模の経済性(スケールメリット)が利く中で、どんな顧客にどのようなサービスを行うかを含めて構築していきたいところです。
――業績拡大が続いてきた一方、MonotaROの株価は約3年前(21年2月)に上場来高値を付けて以降、低迷が続いています。市場の高い期待に応えるには、何が必要だと考えますか。
次ページ以降では、外資系戦略ファームのボストン・コンサルティング・グループ(BCG)出身で、MonotaRO初の女性社長となった田村氏に、コンサル時代に培った経験がいかに今の職務へ生かされているのかを明かしてもらう。また、直近で低迷する株価の反発に向けた自身の役割、中長期的な方針などと併せて語ってもらった。