ウクライナ戦争3年目の「原油・天然ガス」攻防、欧米は戦火の中東依存でロシアは開発に打撃Photo:PIXTA

「ウクライナエネルギー危機」
価格高騰と供給不安の構図は続く

 ウクライナ戦争のもう一つの側面は、原油・天然ガスを巡る攻防だ。

 世界最大の化石燃料輸出国であるロシアに対する制裁で、欧米や日本はロシア産原油の禁輸措置を実施、それに対抗するかのようにロシアから欧州などへの天然ガスの供給が止まったことで、世界は一気にエネルギー危機に陥った。

 戦争が3年目に入る中で供給の不安定構造は変わっていない。西側諸国は原油や天然ガス価格の歴史的急騰はなんとかしのいでいるが、原油の供給量確保で中東依存が深まった。ここにきてのイスラエル・ガザ戦争のイエメンなどへの拡大で、中東情勢の緊迫化が新たな不安定要因になりかねない。

 一方のロシアは、原油禁輸の分を中国やインドへの販路拡大で補うなどで制裁の打撃は最小限に抑えているが、開発案件での西側企業の先端技術導入ができなくなり、将来の原油や天然ガスの供給拡大の道が閉ざされた状況だ。

 ウクライナ情勢と中東情勢とのはざまで、世界は依然として、エネルギー価格高騰と供給不安に揺さぶられる構図が続いている。