倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング#58Photo:amtitus/gettyimages

メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国472金融機関が、これまでどれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか?ダイヤモンド編集部の独自調査を初公開。特集『倒産危険度ランキング2024&初公開!企業を倒産させた金融機関ランキング』の#58では、第35弾として、島根県の金融機関を取り上げる。(ダイヤモンド編集部編集委員 清水理裕)

島根県でメイン先企業を最も倒産させてきた銀行は?
山陰合同銀行、島根銀行が倒産させた企業は何社?

 島根県最大の金融機関は、山陰合同銀行である。地元の島根県でシェアは実に60%を超え、隣の鳥取県でも50%弱で首位。山陰地方を牛耳るトップバンクとして君臨している。

 同行は近年、大阪府で積極的な営業姿勢を見せている。大阪市内全域をカバーしていた大阪支店に加え、2022年8月に大阪中央営業部と大阪南営業部を新設した。

 ライバルの地方銀行幹部は「堺市エリアから南方へも積極的に営業をかけ始めている。大阪中央営業部を増員し、市内・近隣の中小企業を回っている」と、その攻勢ぶりを説明する。

 その上で、同幹部は「山陰合同銀行は、必ず他行を下回る金利を提案している」と打ち明ける。大阪市内でシェアを伸ばそうと、なりふり構わぬローラー作戦を仕掛けているのだ。

 背景にあるのは、歯止めがかからない地元経済の地盤沈下だ。「山陰地方は公共事業頼みで産業が育っていない。地元にとどまっていてはジリ貧だから大阪に出ざるを得ない」(同幹部)というのが、攻め込まれる地銀の共通した見立てである――。

 経営危機に陥った企業が倒産するのか、それともしないのか。その際に重要な鍵を握るのがメインバンクとなる。

 メインバンクとは通常、貸出金のシェアが首位で、当該企業と長年にわたって親密な関係にある銀行のことを指す。ただ、企業側と銀行側で認識が異なっているケースもある。

 今後、倒産件数の増加と金融機関の融資姿勢が厳しくなることは必至とみられているが、どの銀行が今後、企業に厳しく臨むのか。それを知るには過去に注目するとよい。その銀行の将来の行動を最もよく表しているのは、口先のきれい事ではなく過去の行動なのだから。

 メガバンクに地方銀行、第二地方銀行、信用金庫に信用組合――。全国472金融機関が、これまでどれだけメインの融資先企業を倒産させてきたのか。ダイヤモンド編集部が独自に調査し、その結果をまとめた「企業を倒産させた金融機関ランキング」を初公開する。

 第35弾の今回は、島根県の金融機関を取り上げる。山陰合同銀行、島根銀行のほか、島根中央信用金庫など信金も名を連ねた。

 ちなみに「企業を倒産させた社数が多い都道府県ランキング」は、下表の通りだ。地銀や信金、信組など主な金融機関の内訳も明記したので、ご覧いただきたい。

*「メインバンクとして倒産させた社数の合計」は2020年1月~23年11月の合計値で、ダイヤモンド編集部調べによる推計。負債総額1000万円以上、法的整理による倒産が対象。都道府県別の倒産社数の合計は、金融機関の本店所在地ベースで数えた。例えば、東京都に本社を置く企業が倒産してもメインバンクが埼玉県の銀行なら、埼玉県の倒産社数としてカウントしている。主な金融機関の内訳で省略した都市銀行は、東京都が3行、大阪府が1行。政府系金融機関二つと信託銀行1行、その他の金融機関(旧長期信用銀行)2行は、いずれも東京都

 ランキングは、これから10回以上にわたって配信していく。全都道府県と全金融業態を網羅した完全版を含めて、さまざまな視点でお届けする予定だ。それでは早速、今回の島根県の結果を確認していこう。