昨年トップが交代したオムロンは、業績不振で2024年3月期の見通しを2度下方修正した上、2000人ものリストラを余儀なくされた。だが、国内の同業他社はこれほどの苦境には陥っていない。オムロンの辻永順太社長が就任1年目で直面した、FA(ファクトリーオートメーション)業界“独り負け”の実態に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
20年ぶりの大型リストラ!
オムロンの“連続下方修正”の要因とは
FA機器大手のオムロンは、昨年4月に辻永順太氏が社長に就任し、新たなスタートを切った。
しかし、辻永新政権は1年目から苦難の連続で、2024年3月期の業績見通しを2度下方修正している。
さらに、今年2月に開かれた会見では、「NEXT2025」と題した構造改革プログラムを発表し、国内外合わせて2000人もの希望退職を実施することを明かした。オムロンが大型のリストラを実施するのは2002年以来、約20年ぶりだ。
このプログラムでは、リストラ以外の策はまだ抽象的な表現にとどまっており、投資家からは「具体的な策はないのか」といった怒りの声も上がった。
業績不振の一因として、オムロンは中国市場の低迷を挙げる。だが、同様に中国に進出する国内勢は、オムロンほどの苦境には陥っていない。詳細は次ページで述べるが、FA(ファクトリーオートメーション)機器メーカーの中でオムロンが“独り負け”状態なのだ。
辻永新政権は、V字回復を果たせるのか。次ページでは、オムロン“独り負け”の理由に迫るとともに、就任1年目の辻永社長が引いた「貧乏くじ」の正体を明らかにしよう。