サーバント・リーダーシップとは、委任する部下の実現したい世界観と戦略を理解して、その実現のために後ろから支えるリーダーシップのこと。

図表:一般的なリーダーシップとサーバント・リーダーシップの違い同書より 拡大画像表示

 人材の多様化が進み、画一的なマネジメントが通じなくなっている現代において、その必要性はますます高まっています。

 では、サーバント・リーダーシップにおいて最も必要な資質は何でしょうか?それは「個々の意識レベルの理解」です。これから、漫画作品を通して説明していきますが、「個々の意識レベルの変遷」と漫画作品を連動させた以下の表を参照しながら、読み進めてください。

図表:あの漫画にインテグラル理論をあてはめる同書より 拡大画像表示

Z世代の若者との接し方は
『鬼滅の刃』に学べ

 筆者は、漫画『鬼滅の刃』が大好きで、何度も何度も読み返しています。

 好きな点を挙げればキリがありませんが、空前絶後の大ヒットを飛ばした映画「無限列車編」での、煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)の生き様にはもちろん惚れ込みましたし、「刀鍛冶の里編」で、時透無一郎が人間性を取り戻すシーンには感無量。

 史上最大級の大ヒットという金字塔を打ち立てたこの「鬼滅」シリーズ、じつは、10~20代を中心としたZ世代の若者のモチベーションの源泉を知り、マネジメントに活かしていくのに最適な教科書なのです。つまり、『鬼滅の刃』で感動できないようでは、Z世代のマネジメントは難しいということです。

 決して、大袈裟なことは言っていません。

 主人公の竈門炭治郎は、特殊な才能があるわけではない。

 地元で名の知れた不良で、喧嘩が強かったわけでもない。

 優秀な血筋の生まれでもなく、超能力が開花するきっかけがあったわけでもない。

 強いコンプレックスがあり、強くなりたいと願っていたわけでもなく、あくまで等身大で自然体の、優しい長男、「お兄ちゃん」という存在です。

 この炭治郎が最愛の家族たちを失い、唯一生き残って鬼となった妹を人間に戻したいという願いから、物語は始まります。これが最も重要なポイントの一つで、従来の少年漫画とは一線を画するものでした。

 海賊王や、忍者の里のトップといった高い目標があるわけでもない。まだ見ぬ最強の戦士と戦いたいわけでも、全国制覇を目指してバスケットに励むわけでもない。