株や投資信託といった金融商品への投資だけでなく、「経験」への投資も、幸せな人生を送るためには欠かせない。有意義で楽しい経験にお金を使うと、一生心に残る「記憶」という財産が得られ、それまでよりも豊かな時間を過ごせるようになるからだ。
本稿では、「絶対に後悔しないお金と時間の使い方」を指南するベストセラー書籍『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』より一部を抜粋・編集して、「老後に不幸になる人」に共通する“お金の使い方”の特徴を明かす。(構成/根本隼 初出:2023年3月4日)
本当の幸せ≠貯金の量
人生をより豊かにするために、株式・債券などの投資にチャレンジする人がいま多い。物価高と賃金の伸び悩みで生活が相対的に苦しくなり、将来の給与アップも高望みができない状況下で、「自分の身は自分で守る」必要性が高まっているからだ。政府も「貯蓄から投資へ」をスローガンに、投資がしやすい環境の整備に力を入れている。
しかし、お金を貯めること自体が目的になってはいけない。投資で得たお金を貯蓄に回していては、預金を増やしているだけで「宝の持ち腐れ」だからだ。本当に大事なのは、「お金を使って何をするか」だ。
「人生=経験の合計」という発想を持とう
『DIE WITH ZERO』によると、お金を無目的に貯めても決して幸福にはなれず、その場でしか味わえない「経験」にお金を充てることで、初めて幸せになれるという。というのも、人生とは結局、「経験の合計」だからだ。
もちろん、「お金をたくさん使えばいい」という意味ではない。金額の大小にかかわらず、かけがえのない経験にはなるべくお金を惜しまない方が賢明だということだ。
本稿では、「経験」がいかに人生にポジティブな影響を及ぼすかについて、本書より一部を抜粋・編集して、さらに詳しく解説する。
「経験」にお金を使わなかった人は、老後に不幸になる
経験には時間と金がかかるが、実現することで喜びも得られる。だから、経験それ自体に価値があることはわかってもらえるはずだ。
時間や金をかけて何かを経験するのは、その瞬間を楽しむためだけではない。経験は私たちに、尽きることのない「配当」を与えてくれる。それが、「記憶の配当」だ。元の経験に比べれば、記憶から得られる喜びはほんのわずかかもしれない。それでも、その思い出はかけがえのない宝物だ。
(P.50,52,54)
経験によって得た「記憶」は、永続的に心を豊かにする
こんなふうに、元の経験から副次的に生まれる経験は、まさに記憶の配当だと言える。その経験は、積み重なっていく。忘れがたい旅を振り返ることで、どれくらい多く、豊かな時間を過ごせただろうか。繰り返し思い出すことで、元の経験よりも多くの喜びが得られることだってある。
特に、経験の思い出を誰かと分かち合うときがそうだ。自分が経験したことを、誰かに話す。その経験をネタにして笑い合い、絆を深め、アドバイスする。するとそのこと自体が経験になる。あるビジネスが別のビジネスを生むのと同じだ。
良い経験はまわりに伝染する。自分が思っている以上の、ポジティブな連鎖反応が起こる。1足す1が2以上になる。だからこそ、私たちは経験に投資すべきなのだ。
(P.55~56)
(本稿は、『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』より一部を抜粋・編集して構成しました)