小林製薬の「紅麹」(べにこうじ)による健康被害が拡大している。左派系メディアや野党は「機能性表示食品」の制度や安倍晋三元首相時代の規制緩和を問題視するが、こうした主張には大きな疑問がある。(イトモス研究所所長 小倉健一)
メディアの「決めつけ」に注意を
小林製薬の紅麹の成分を含む健康食品を摂取した人の健康被害が、連日報告されている。厚生労働省は、3月31日の時点で、のべ786人が医療機関を受診し、のべ157人が入院したことが小林製薬からの報告で明らかになったと発表した。関連が疑われる死者数は5人にもなる。
この問題では、小林製薬の「紅麹」の成分を含む「紅麹コレステヘルプ」を摂取した人が腎臓の病気を発症し、去年製造された紅麹原料と製品から「プベルル酸」とみられる、製造工程で想定しない成分が検出されている。
プベルル酸は青カビ由来の物質で、1930年代に発見された。読売新聞オンライン(3月30日)によれば〈感染症の原因となるマラリア原虫に効果があることを突き止めていた北里大のチームは2017年、マウス5匹に注射した実験で4匹が死んだと報告。しかし今回のサプリで問題となった腎臓への影響はわかっておらず、プベルル酸以外の物質が腎障害を引き起こした可能性も残る〉という。
小林製薬の一連の対応には私も疑問があるものの、悪意ある人物の犯行という線も消えておらず、意図的なものでなければ業務上過失致死の可能性もあり、小林製薬が被害者である可能性も捨てきれていない。メディアから流れてくる決めつけ報道には十分な注意が必要だ。
いずれにしろこの問題、小林製薬の「紅麹」製造過程のどこかで毒物が混入した模様であるのだが、メディアや立憲民主党、共産党の議員によって、小林製薬による健康被害がいつしか「機能性表示食品」へと責任が転嫁されてしまっている。