日本人が国際化できないのは英語が下手だから!?「変革を拒む仕組み」の呪縛とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

戦後80年を経てもいまだに英語後進国であるため、国際化に対応できていない日本。本来解決が可能な問題なのに、戦後から一向に変わらないのはなぜなのか。その理由は、日本という社会が「変革を拒む仕組み」にがんじがらめにされているからなのだ。本稿は、デニス・ウェストフィールド『外国人には奇妙にしか見えない 日本人という呪縛 国際化に対応できない特殊国家』(徳間書店)の一部を抜粋・編集したものです。

日本人が国際化できないのは
英語が下手だから!?

 日本人の国際化を阻み、世界でどうしても孤立してしまう原因となっているのが、英語である。

 日本の英語教育は日本人にとって最大の呪縛の一つだ。これは本来、解決可能な問題でもあるというのに、戦後から一向に変わっていないことは特筆に値する。そこで最初に、日本人の英語教育について触れたい。

 世界で最も奥深い文化を持つ日本だけあって、その言語である日本語は実に独特で、表現が豊かだ。だからこそ、アニメや漫画といった世界に受け入れやすい日本のポップカルチャーだけでなく、神道や禅の精神に根付く日本人のメンタリティーにいたるまで、そしてもちろん日本の政治や経済でも日本人が海外で理解されるためには、外国人とやりあう英語能力が今後さらに必要だと常々感じている。

 ところが、日本国内にはそんな人材はあまりいない。日本の中で英語ができて発信力がある人は日本の奥深い文化に関心がなく、逆に日本文化に造詣が深い日本人は英語ができない。なかなか両方が揃わない。

 日本は政治や外交面でも、相変わらず世界で自己主張ができず、アメリカのような大国に寄り添い続けるだけの外交を何十年も続けている。日本が世界の中で沈黙せざるを得ない、最も大きな理由が英語下手であることだろう。

 筆者は海外でさまざまな外国人と話をするが、日本人ほど英語を苦手としている国民はいない。

 とくに日本の政治家の英語能力の低さは、その国の内向き度合いを示している。

 これは、日本語と英語の言語構造的な理由が大きいが、それだけではない。日本の英語教育制度に欠陥があるのは明らかだ。

 日本で「英語学習」の重要性が半世紀以上も叫ばれていながら、日本社会としてはほとんど進化できていない。日本の英語教育は、戦後にGHQが採用した「文法訳読方式」が基になっていると言われる。文法と翻訳を重視した教授法で、会話はほとんど無視されてきた。それが戦後80年経つというのに、ほとんど改革されてこなかったのだ。