調べてみると、22年時点でオーストラリアへの外国人留学生は62万人いる。その内訳は、シドニーのあるニューサウスウェールズ州が24万4000人。メルボルンがあるビクトリア州が18万7000人。ブリスベンのあるクイーンズランド州が9万1000人。パースがある西オーストラリア州が3万8000人、アデレードのあるSAも3万8000人、などとなっていた。

 留学生の国別内訳では、中国人が最大の15万6000人。インド人が10万人。ネパール人が5万7000人。コロンビア人が2万3000人。ベトナム人が2万2500人などとなっている。

 ところが日本人は、韓国人の1万1400人よりも大幅に少ない8900人しかいなかった(国別ランキングでは17位)。

 それでもオーストラリアに留学する日本人学生が昔からずっと少なかったわけではない。約20年前の2004年のピーク時で1万6500人と、現在の約2倍はいた。その年は、オーストラリアへの留学生のうち、日本人学生の占める割合は約10%、10人に1人は日本人(ランキングでは第5位)だったのだ。

 それが2020年のコロナ禍で9400人と1万人を割り込んだ。不可解なのは、コロナが収束してからほかの国々からの留学生は回復しているのに、日本人はさらに落ち込み続け、2023年になると7000人も割り込んでしまった。割合では全体の1・2%しかない。

 一体これはどういうわけだろう。

 日豪関係は近年、貿易面や安全保障面でかつてないほど良好な関係を築いてきた。通常、日本との関係が良好になればなるほど、その国への留学者数も増える傾向にある。だが、オーストラリアではまったく正反対の結果になっている。

 オーストラリアはかつて、日本人の海外留学先として米国に次いで第2位だったが、近年はその地位を失ったということかもしれない。だがそれだけではない。日本人の若者自体に、海外で学ぼうという意欲が失われていると筆者には思える。