“異業種の相手”だからこそ出てくる質問も…

 導入パートであるオリエンテーションの後は、「経験学習」について学ぶ。「経験学習」は、FCに掲載され、これまでのフォロー研修でも復習してきたテーマだ。まず、経験を自分の力にするための「経験学習サイクル」、そして、「経験学習サイクル」を阻む「3つの壁」について学び、その後、今回の研修テキストに書かれている「経験から学ぶための5つの要素」について、2〜3人で意見交換を行った。

 次に、入社時の4月から現在(2月)までの自分のキャリアを時系列で振り返る「時系列チャート」の作成。主な出来事を振り返りながら、どのような経験が自分にとって大きな意味を持っているのか、また、それぞれの経験における「モチベーション」を高低で示し、何に影響を受けているのかを考えてみるというワークだ。最初に個人で書き込みをした後、先ほどとは違う相手と、お互いの時系列チャートについて対話していく。

「できるだけ違う業種の人と組んで、自分の仕事を説明するつもりで話してみましょう」と、内山講師が呼びかける。仕事内容を知らない相手に分かりやすく丁寧に説明することは自分自身の仕事の再確認につながり、異業種の相手だからこそ出てくる質問も良い刺激となるのだろう。グループワークの終了後、これまでの学びについて感じたことや疑問などを各自が無記名で付箋に記録し、机の上に貼ってから10分間の休憩となった。

 休憩時間中に私の目を引いたのは、自分のノートPCを会場に持ち込んで仕事をしたり、電話対応したりする受講者の姿だった。これまでのフォロー研修時には見られなかった光景だ。もはや、新人ではなく、一人前の社員として仕事をしている様子に、約1年間の成長の姿が感じられ、頼もしく見えた。

 休憩後、付箋の内容を読んだ内山講師が、「『モチベーションの上げ方を知りたい』など、モチベーションについて書いている人が多かったですね」と、語りかけた。続けて、「モチベーションは、『人』との関係で上下することが多いです。どんな相手と一緒に仕事をするかでも変わってきます」と解説する。研修テキスト内の「経験から学ぶための5つの要素」の中にも、「つながり」という項目があり、自分の成長を支援してくれる他者との適切な関係が大切だと書かれている。

「経験学習は、待っているだけでは得られません。自ら工夫していく姿勢が大切です」(内山講師)

 自分が成長できるような環境を、自分のできる範囲でつくっていくこと――それが、モチベーションのアップにつながっていくのだろう。