心臓をおさえる男性写真はイメージです Photo:PIXTA

まだまだ若いつもりで丼メシやラーメンを楽しんでいる中高年男性は少なくない。だがそのほとんどは、健康診断でしっかり要注意判定が出ているはずだ。肉体年齢と自覚年齢のギャップが開き始める40代後半男性の実際のデータをもとに、彼の「その後」を追ってみよう。※本稿は、野口 緑『健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと』(日経BP)の一部を抜粋・編集したものです。

体重は変わらず腹囲がアップ
=筋肉が減って内臓脂肪が増えた

 Bさんは、少しおなかが出ていたものの、40代半ばまであまり問題がない状態でした。44歳のときは体重74kgでBMIは23。おなか回りは86cmとメタボの基準となる85cmをわずかに超えていましたが、ほぼ標準的な体重で肥満はありませんでした。

 この頃は、血圧も、血糖値を示すHbA1cも、肝機能の指標であるASTやALT、γ‐GTPも、基準値内に収まっていました。

 ところが、次第におなか回りが太くなり、それとともに血圧が上がっていきました。

 46歳のときは、体重は増えていないのに腹囲は91cmに増えていました。体重が変わらないのにおなか回りが5cmも大きくなったということは、それだけ内臓脂肪が増えて筋肉が減ったということです。

 このとき血圧は上が132mmHgで下が86mmHgと「高値血圧」になっていました。そして、HbA1cやALT、γ‐GTPは、いずれも基準値を超えてきました。

 47歳のときは、体重とおなか回りは前年と大きく変わらなかったものの、血圧、HbA1c、AST、ALT、γ‐GTPの数値が少しずつ悪くなっていました。

 そして48歳のときも体重は74kg、腹囲92cmと前年とほぼ同じでした。

 ところが血圧は上が148mmHgで、下が88mmHgと「高血圧」と診断されるレベルに上がっていました。HbA1cは前回と同じでしたが、肝機能の数値も少しずつ上がりました。

図表:Bさんの健康診断の結果同書より 拡大画像表示

 44歳のときまでは血圧やHbA1c、肝機能の数値に何の問題もなかったBさん。しかし、46歳のときに腹囲が90cmを超え、内臓脂肪が増えると、血圧やHbA1cが上がり始め、脂肪肝も悪化していきました。つまり、内臓脂肪の蓄積が、血圧などの数値悪化の原因となったことは明らかといえるでしょう。