それに加えて、震災被災地での生産活動という情緒に訴えかけるストーリーも、「ミガキイチゴ」を「高くてもバカ売れ」するブランドに育てた要因のひとつであることは間違いありません。

 つまり「ミガキイチゴ」は、消費者の理性ではなく感情を動かす「贈答用イチゴ」としてのストーリーを生み出すことで、1粒1000円という驚きの価格づけを成功させたのです。

1000円の超高級品をプチギフトに

「プレゼント用」「贈答用」というと、数千円から1万円程度の値付けをすることが一般的です。

 しかし、もともとが安価な商品である場合、1000円程度の価格であっても高級品です。それでもちょっとしたギフトとして喜ばれる商品にすることができます。

 ここ数年、密(ひそ)かにヒットしているのが高級ティッシュというジャンルです。各社から出ていますが、クリネックス(日本製紙クレシア)から販売されている至高シリーズ「極(きわみ)」はその代表格です。

 一般的なティッシュペーパーが1箱あたりにすると100~200円前後なのに対し、「極」は1箱1000円という超高級品です。

 原材料は針葉樹パルプと広葉樹パルプを黄金比率で配合、極めて薄く仕上げた紙を4枚重ねにして、独自の特殊加工を施し、ふっくら・やわらかな肌ざわりを実現した商品になっています。

 パッケージは「金襴/KINRAN」と「黒硯/KUROSUZURI」の2種類。いずれも、金箔押しのオリジナルロゴ「極」を用い、「金襴」は金色をベースカラーに大小の紋様を組み合わせたデザイン。「黒硯」は黒色をベースカラーに細かい伝統紋様をモチーフに配列したデザインです。どちらも高級感あふれるラグジュアリーなパッケージになっています。

 このような高級ティッシュは、引っ越しの時の挨拶品、パーティーの引き出物、花粉症の友人へのプレゼントなどのギフト需要が多いのです。

 自分ではなかなか買えないけど、もらうと嬉しい品になっているということでしょう。このあたりにも、「高くても売れる」ヒントがありますね。