「ビジネスモデルの変革に、いすゞは柔軟にチャレンジしていく」と南社長。人手不足で物流業界として大きな命題となる「2024年問題」は、社会的テーマであり、商用車メーカーとしてもこれを解決するサービスの強化に力を入れる。自工会会長に初めて商用車メーカー代表として片山会長が就任したことも、自動車業界として「2024年問題」解決に向けて取り組むための一環だ。
さらに、今期から30年度までに、計2兆6000億円に上る成長投資を計画している。ただし、このうち、「商用車でディーゼルエンジンの既存車が急速に減るのは、まだまだ先の話だ」(南社長)として、1兆6000億円は既存事業に投資し、電動車開発や自動運転の実用化などには1兆円を投資する戦略だ。
乗用車のEV化の潮流もここへ来て変化しているが、商用車のEV化はそれ以上に価格や充電インフラの問題から遅れている。
そのため、いすゞは、まず既存事業への積極投資を行い生産能力増強や商品ラインアップの拡充を図る姿勢を見せる。
「小型・中型トラックにおける世界のリーダーというポジションを確立する。大型トラックではUDトラックス主導で商品強化するほか、LCV(ピックアップトラックなど)はアジア、アフリカ、中南米といったグローバルサウスで強化していく。また、地域別には北米も強化していく」(南社長)
また、新規事業では、電動車の開発を進めEVとFCVの量産技術を確立させることで、30年度までに価格を既存車並みにしていく開発を急ぐ。とりわけ力を入れるのは自動運転車だ。「2024年問題」解決への取り組みを発展させ、27年には「レベル4」の自動運転車を活用したトラック・バス事業を日本と北米で実用化させることとしている。