今度は夫が私の日常をたずねてくるではありませんか。

「今日、何を食べたの?」
「調子はどうだった?」
「大丈夫?」

 それ以降、私と夫は再び、お互いについて知る楽しみに魅了されました。今日一日の出来事に始まり、それまでの年月で変化していたのに知らなかったこと、そしてこれまで一度も明かしたことのなかった幼い頃の心の傷まで、つもる話は多く、お互いに共有したい話題もたくさんありました。

言いたいことは、きちんと言葉で伝える

 そして私たちはわかったのです。「愛しているから、わざわざ言わなくても相手は自分のことをわかってくれている」という考えが、とんでもない誤解であったということを。

 どんなに愛していても、口に出さなければ伝わりません。だから自分の気持ちや考えを頻繁に相手に伝えなければなりません。

 言いたいことは胸の奥にしまい込まずに、きちんと言葉にして語りましょう。昨日と違う自分について。それでこそ、相手が理解してくれるのです。同じように、あなたも、相手のことをすべてわかっていると思い込んではいけません。

 人間は、自分のことすら一生わからないものです。他人である相手のことならなおさらです。

 この事実を、私は結婚して30年経ってようやく悟りました。

 相手に対し、絶えず自分のことを伝え、絶えず理解しようと努力すること。ともすると、それが結婚生活を長く続ける秘訣なのかもしれません。

(本原稿は『もし私が人生をやり直せたら』から一部抜粋、追加編集したものです)