儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態#4Photo by Hirobumi Senbongi

大企業の農業参入といえば、ビジネスの常識を教えてやろうという“上から目線”で、農家から不評を買うことが多かった。しかし、近年は、有力農家とタッグを組んで本気の農業革命に挑む企業が出てきている。特集『儲かる農業2024 JA農水省は緊急事態』(全17回)の#4では、「農家が注目する『農業参入企業』ランキング」と、「農家が決める『農業プラットフォーマー』ランキング」を公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 千本木啓文)

農業プラットフォーマーとしては
JA全農、神明HDが存在感を示す

 農家が注目する「農業参入企業」ランキング首位は、通信最大手のNTTグループだった。担い手農家アンケート回答者からは、「本気度が極めて高い」「農家目線だ」といった声が寄せられた。

 NTTの農業ビジネスを象徴するのが、庭先で野菜などを販売する自動販売機だ。一見“地味”だが、農家の手取りに直結する仕組みになっている。肝は、売り上げ連動型の料金体系だ。農家は自販機での販売額の一定割合(一例では20%)を手数料として払えば、初期導入費(機種によっては100万円超)をかけずに導入できる。

 一般的な農産物直売所や産直アプリの手数料は15~23%程度。農家は、それと同程度の手数料で、物流費をかけず、自社ブランドの農産物を庭先で売ることができる。

 実は、無人の庭先直売はコロナ禍以降、増えており、市場規模は約2兆円と試算されている。農家にとっては重要な販路なのだ。

 NTT東日本子会社の農業専業会社、NTTアグリテクノロジーが昨年11月に自販機の提供を始めたところ、300件以上の問い合わせがあり、うち20件の設置が決まった。同社は今後、庭先直売所を探せるアプリの開発や、野菜の供給量によって価格を変動させるダイナミックプライシングの導入などを検討する。

 こうしたビジネスの着眼点や料金設定は、日頃農家と密に情報交換しているからこそ生まれる。

 次ページでは、「農家が注目する『農業参入企業』ランキング」と、「農家が決める『農業プラットフォーマー』ランキング」を全公開するとともに、巨大農業ハウスの建設の請負などにみられるNTTの農業ビジネスの本気度に迫る。