これは、プロの聴き手が、クライアントに対する姿勢のつくり方です。短い時間で相手と関係性を築き、深い会話ができるようになるための手順です。子育て中のみなさんに、ぜひ取り入れてほしい部分は、体や顔を子どもに向ける、そして、目(のあたり)を見る、というところです。

 とくに意識してほしいのは「相手に分かるように」という部分です。「見る」「見られる」がお互いに意識できるようにする、というのが、ポイントになります。

 朝出かけるとき、学校から帰ってきたとき、あるいはパパママがお仕事から帰ってきたときでもかまいません。

 バタバタして忙しい、その手をちょっと止めて、ほんの数秒です。ちゃんと身体を向けて、目を見て、「いってらっしゃい」、「ただいま」って言ってみてはどうでしょう。

 毎日続けていると、変化に気がついてきます。今日は元気ないな、とか、ちょっと目がきらっとしてるぞ、いいことあったのかな、とか、髪が伸びてきてる、とか、「観察」できてきます。自分の「見る力」が上がってきていることにも、気づいてくださいね。

「コミュ力が低い子」の親が無意識で繰り返している“NG習慣”とは?cイラスト/坂木浩子 拡大画像表示

人は「見る人」「見てくれる人」を好きになる

「見る」スキルが身につくと、もっといいことが起こります。それは、「人に好かれる」という効果です。

「見る」「見られる」というのは、子どもたちにとって大切な働きかけです。この働きかけのことを、心理学では「ストローク」といいます。

 プラスのストローク(働きかけ)をたくさんもらえた子どもたちは、親に対する愛着形成がしっかりとできるだけでなく、そのほかの人間たちに対しても安心感を持ち、人間関係をつくることが自然にできてきます。

 赤ちゃんを「見る」と思わずにこっとしてしまいますよね。そうすると、赤ちゃんがにこっとすること、ありませんか?