「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在15,000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は、自力整体の考案者であり、50年近く鍼灸師・整体治療家・ヨガ講師としても活動されてきた矢上裕さん(矢上真理恵さんのお父様)もお迎えし、東洋医学の視点から、初夏に出やすい不調の解決法を数回にわたりお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】夜中、目覚めてしまう人はやってみて。朝まで熟睡「3つの習慣」

「水毒症」の人ほど湿気に弱く、寝苦しい

――初夏は湿気で寝苦しく、何度も目覚めてしまう人は多いです。東洋医学の視点からアドバイスをお願いします。

矢上裕(以下「裕」):まず熟睡を妨げる一番の原因は、夜間頻尿です。おもに「水毒(すいどく)」による体の冷えから熟睡できず、何度もトイレに行きたくなって目覚めてしまいます。

――「水毒」とは何でしょうか?

裕:水分のとりすぎや、運動不足、筋肉量不足により、体内に余分な水分が溜まることを、東洋医学では「水毒」と呼んでいます。

水を多く抱えている水毒症の方は、氷を抱きしめながら生きているようなもの。夜は血行不良で熟睡できませんから、夜中、何度も目覚めてしまうのです。

人は本来、膀胱におしっこがたまっても目覚めることのないように、抗利尿ホルモンがはたらきます。しかし、「水毒症」で体が冷えていると、血行不良から熟睡できません。すると抗利尿ホルモンがはたらかず、何度も尿意で目覚めてしまうというわけです。

また、私たちが寝苦しいと感じるのは、温度よりも湿度です。「水毒症」の方ほど湿気に弱く、寝苦しいと感じるはずです。

――不眠のほかに、水毒のおもな症状を教えてください。

裕:おもに「冷え」「むくみ」「視力低下(近視)」「めまい」「鼻炎」「口内炎」「気管支喘息・アレルギー」「腰痛」「坐骨神経痛」「ひざ痛」「足底筋膜炎」「水虫」など
これらは典型的な水毒症状です。

初夏に役立つ、朝まで熟睡3つの習慣

――水毒症状のある方にもおすすめの、熟睡習慣を教えてください。

裕:自力整体を夜おこなうだけでも熟睡できますが、水毒の不快症状のある方は、次の3つをしばらく実践してみてください。

1 湯船に塩を大さじ3杯ほど入れつかる
2 自力整体で体をゆるめる
3 湿気で寝苦しい夜はエアコンのドライで除湿

(※脱水に十分注意しましょう。水分摂取はご自身のペースで)

夜、湯船に塩を大さじ3杯(適宜)入れてつかり、汗をかいて余分な水分を出しましょう。最後に体に水をかけるとスッキリします。

寝る前、自力整体で体をどんどんゆるめて、溜まった水分を流しましょう(※ワークの一部は後半で紹介)。体内の水の流れがよくなり、余分な水分は尿として出ていきます。自力整体は最高の水毒解決法です。汗を大量にかくのはたいへんですが、尿で出せるとラクですよね。寝る前に膀胱はスッキリして、夜間頻尿も予防できます。

もし、湿気で寝苦しくなると感じたら、朝までエアコンのドライをかけて除湿するのもよいでしょう。

――最後に、真理恵さんの書籍の中から、ウェブ読者のみなさんも手軽にできる自力整体を教えてください。

真理恵:体内の余分な水分を出す、「足首の血流を促す運動」を紹介しましょう。ふくらはぎと足首に自重をかけて血管・リンパの流れを促します。

【整体プロが指南】夜中、目覚めてしまう人はやってみて。朝まで熟睡「3つの習慣」矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約15,000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約15,000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗