2024.5.15
停滞日本が“普通”の経済に戻る「3つの上げ」、失われた30年から脱却する2つの鍵
33年ぶりの高さとなった春闘賃上げ率や17年ぶり利上げに象徴されるように、日本経済は「値上げ」「賃上げ」「利上げ」で長い停滞から「普通の経済」に戻る足掛かりを得た状況だが、「3つの上げ」が定着するためには、企業がヒトへの依存度を適切に…
野村証券金融経済研究所チーフエコノミスト
もりた・きょうへい/1994年九州大学卒業、野村総合研究所入社。英国野村総研ヨーロッパ、野村證券金融経済研究所を経て、バークレイズ証券(2008~2017年)およびクレディ・アグリコル証券(2017~2022年)にてチーフエコノミスト。2022年7月より現職。2000年米ブラウン大学より修士号(経済学)、2018年九州大学より博士号(経済学)を取得。共著に『人口減少時代の資産形成』(東洋経済新報社)、『現代金融論 新版』(有斐閣)など。
2024.5.15
33年ぶりの高さとなった春闘賃上げ率や17年ぶり利上げに象徴されるように、日本経済は「値上げ」「賃上げ」「利上げ」で長い停滞から「普通の経済」に戻る足掛かりを得た状況だが、「3つの上げ」が定着するためには、企業がヒトへの依存度を適切に…
2024.3.20
日本銀行は春闘の高い賃上げ率を踏まえてマイナス金利解除や無担保コールレートを政策金利として「0~0.1%」の誘導レンジとすることなどを決め、金融政策の正常化に踏み出した。今後は「賃金→物価」の波及を確認しながら10月には追加利上げが予想…
2024.1.24
2024年の日本経済は、「賃金・物価の好循環」の進展と「失われた30年」からの覚醒という2つの可能性を展望できる年となりそうだ。労働人口減少などの人口動態の変化と資本効率を高める経営を求める市場圧力が背景にあり、その先には労働力が伸びな…
2023.11.22
日本のインフレは食料品価格が主役で輸入物価や円安など対外要因の影響が考えられる。日銀が物価目標実現で「賃金・物価の好循環」を重視するのは、労働分配や消費者の購買力の増加などインフレの「原因」を日本経済に根付かせることにあるからだ。
2023.9.27
マイナス金利解除の可能性に言及した植田日銀総裁のインタビュー発言は円安の急伸に歯止めをかけるのが狙いだ。経済情勢や物価見通し重視の姿勢の下で今後、インフレ率低下が見込まれ政策変更時期は24年10~12月期というのがメインシナリオだ。
2023.7.26
日銀がYCCを修正する場として7月の金融政策決定会合が有力だ。今後の金融緩和策は日銀の見通しに対して物価が上振れするリスクとの共存が求められ、これがYCC修正の政策的意義を高める。7月、遅くとも年内に修正に踏み出すことが見込まれる。
2023.5.31
日銀の物価見通しで2024年は2%インフレ到達が示されているが、植田総裁が政策転換に慎重なのは、2%インフレ実現は、需給ギャップ改善などよりも予想インフレ率の上昇を前提にしているからだ。この考えは直近の総裁講演録で明らかだ。
2023.3.29
再燃した欧米の金融不安の悪化を防ぐには3つの点についての冷静な分析と判断が重要だ。当面はインフレ警戒の金融引き締めと金融不安拡大を抑える流動性供給の微妙なバランスが求められる。
2023.2.1
日本銀行の政策変更は、経済のファンダメンタルズだけでなくYCCの副作用や政治との関係など四つの要因が複雑に絡む。分析すると、政策金利水準の引き上げは早くて2024年初頭がメイン・シナリオだ。
2022.12.28
日銀はYCCの長期金利変動幅拡大を皮切りに、副作用と物価などのファンダメンタルズへの対応を峻別してYCC解除に進むと考えられるが、物価判断の変更での利上げは24年以降になりそうだ。
2022.11.2
インフレは裾野の広い「マクロ型」とそうでない「ミクロ型」があり、処方箋は違う。日本はミクロ型であり、電気・ガス補助金のような財政政策を通じた個別品目の価格抑制と日銀のYCC維持は正当化しうる政策だ。
2022.9.7
インフレが続く米国だが、家賃が物価の基調と連動すること、家賃に1年~1年半先行する住宅価格の上昇ペースが横ばいし始めたことを踏まえると、FRBは23年後半には利下げに転じるというのが、有力シナリオだ。
2022.3.16
ウクライナに軍事侵攻したロシアに対する経済制裁などの「脱ロシア」の動きは、「脱炭素」と同様にインフレの高止まりにつながる。中央銀行に従来の政策判断のモノサシの修正を迫ることになる。
2022.1.19
金融政策変更の鍵は消費者物価の動向と政策委員会メンバーの人事だ。今夏のリフレ派審議委員の後任人事を手始めに“緩和DNA”が変化し、2025年前半には金融政策正常化が始まる可能性がある。
2021.11.24
コロナ禍の1年半で3度目の大規模経済対策が決まったが、そのこと自体が、経済社会の本当の課題に取り組まず、将来の成長を促す内容になっていない政策作りの根深い問題を露呈している。
2021.9.29
ポスト菅の新政権は「2%インフレ目標」を維持するなら、労働市場で雇用調整が円滑に行われる制度の導入と「賢い財政支出」を通じて潜在成長率引き上げにコミットする「2つの覚悟」が求められる。
2021.8.4
量的緩和縮小が現実味を帯びるなかでFRBが新設した資産買い入れオペの枠組みは、米政府の債務上限問題が紛糾した際に重要性を持つだけでなく短期金利誘導のツールにもなり得る。
2021.6.9
FRBの量的緩和縮小の鍵を握るのは労働参加率と消費者物価指数(CPI)の基調で、失業率やコアCPIに過度に注目するのは禁物だ。現状ではテーパリング開始は2022年1~3月と予想する。
2021.4.7
米FRBは「雇用の最大化」を実現する際に「最大雇用」の捉え方を従来の「完全雇用」から「包摂雇用」に変えている。足元の失業率は低下したが量的緩和の縮小に着手するのは2022年初頭になりそうだ。
2021.2.10
コロナ禍での金融政策の「点検」やレビューを日本銀行やECBが掲げているが、ECBが検討する潜在成長率引き上げを狙った「グリーン金融政策」は従来の金融緩和策に「新たな次元」を加えようとするものだ。
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