2024.1.18
少子化対策財源「国民負担増なし」のトリック、歳出改革先延ばしの“悪知恵”
2024年度を初年度とする異次元の少子化対策は岸田首相が掲げる「国民負担増なし」を表向き繕ったが、財源を捻出するという歳出改革は24年度予算を見る限り不十分だ。また診療報酬や介護報酬引き上げのうち、医療従事者や介護従事者の処遇改善による…
東京財団政策研究所研究主幹
(もりのぶ しげき)法学博士。東京財団上席研究員、政府税制調査会専門家委員会特別委員。1973年京都大学法学部卒業後、大蔵省入省、主税局総務課長、東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、財務省財務総合研究所長を最後に退官。その間大阪大学教授、東京大学客員教授。主な著書に、『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)『日本が生まれ変わる税制改革』(中公新書)など。
2024.1.18
2024年度を初年度とする異次元の少子化対策は岸田首相が掲げる「国民負担増なし」を表向き繕ったが、財源を捻出するという歳出改革は24年度予算を見る限り不十分だ。また診療報酬や介護報酬引き上げのうち、医療従事者や介護従事者の処遇改善による…
2023.10.6
政府は税収増などを「成長の成果」として経済対策をまとめ国民に還元するというが、増収はもともとインフレによる増税や巨額予備費を使いきれなかったものだ。景気回復下での財政出動は「インフレ課税」を加速し、国民にさらに負荷をかけることにな…
2023.6.28
岸田政権の重要政策の財源はすべて具体的な根拠不明の「歳出改革」と「つなぎ国債」での対応だ。昨夏の参院選後の3年間は国政選挙がなく負担増問題で首相が指導力を発揮できる期間だがその半分を浪費した。
2023.4.18
安倍元首相の回顧録には消費増税に対する財務省への激しい敵愾心が書かれている。なぜ財務省を嫌ったのか、浮き彫りになるのはアベノミクスのポピュリズム的側面と政策決定で幅広い議論を軽視する二面性だ。
2023.1.17
23年予算編成の目玉であるこども政策、GX、防衛費増強は巨額の財源がいずれも確たるめどがないままのスタートで国債依存が深まる。予算編成は政権の総合力を示すが、岸田政権3年目の政策遂行や財政運営は多難だ。
2022.9.9
ウクライナ侵攻を機に、防衛費を5年以内にGDP比2%に増額する議論が熱を帯びる。だが、額の根拠が不明なだけでなく巨額の政府債務を抱える状況で財源をどうするのかなど、肝心な問題が置き去りだ。
2022.6.20
参院選の争点の物価高対策で消費減税が国民の広い支持を得られるかは、その効果も含めて疑問だ。高所得者に減税の恩恵が偏るうえ、全世代型社会保障の持続性を危うくすることになるからだ。
2022.2.10
岸田政権が掲げる「成長と分配の好循環」には所得再分配政策が重要だ。社会保障の持続性を高める一方で働き手が成長分野で仕事ができるよう職業訓練などに政府主導で取り組む必要がある。
2021.7.15
GAFAなど大規模多国籍企業へのデジタル課税の国際的枠組みと、引き下げ競争が続いていた法人税率に下限を設けることについてG20・OECD(経済協力開発機構)で基本合意が成立した。これまでの課税のあり方を大きく変える画期的な合意だ。その歴史的…
2021.4.23
バイデン政権が法人税率引き上げや多国籍企業の税逃れを抑える世界共通の最低税率導入を掲げた。90年代以降続いてきた「法人税率の引き下げ競争」の転換点になる可能性がある。
2020.4.1
新型コロナウイルス問題での経済対策で重要なのは、「規模」や「ばらまき」でなく、中長期的な視点で社会のインフラを作ることだ。今こそマンナンバー制度を活用し、支援が本当に必要な人への現金給付を実施すべきだ。
2020.3.2
GAFAなどの多国籍IT企業に対する課税で「市場国」が新たな課税権を得ることなどで合意した。全世界で年間1000億ドルの税収増が見込まれるが、制度作りでの合意形成が課題だ。
2019.4.15
GAFAに代表される多国籍IT企業への課税強化の取り組みが始まったが、国際的な体制作りのハードルは高くEUでは「デジタル税」導入が合意できず見送られた。政府VS企業だけでなく、税源配分をめぐって米国、欧州、新興国などの利害が違うか…
2018.11.28
プレミアム商品券やポイント還元などの消費増税対策は“過剰”で政策目的も曖昧だ。ポイント還元をするならマイナンバーカードを活用するなど、税と社会保障制度を一体的に設計する発想が必要だ。
2018.10.25
ふるさと納税制度の見直しが始まるが、豪華返礼品の規制では、地方間の税収格差という根本問題は解決しない。ふるさと納税は通常の寄付税制に戻し、税源偏在は法人税制度の見直しで対応するのが筋だ。
2018.6.18
新しい財政健全化計画は相変わらずの高めの成長率見通しなど、アベノミクスがうまくいかなかった反省を踏まえない「ぬるい」内容だ。それどころか避けて通れない国民的な議論の「絶好の機会」を失わせた。
2018.3.21
国境を超えてビジネスを展開する米国IT企業の租税回避に対する対抗策作りが4月のG20会合で動き出す。無形資産やビッグデータへの課税など、世界の税制が大きく変わる可能性がある。
2018.3.7
2019年秋の消費増税を巡り早くも景気への影響を懸念する声が出ているが、駆け込み需要や反動減を防ぐ方法はある。事業者に価格転嫁の時期を自由に判断させればいい。これは欧州で実証されている。
2018.2.12
新財政健全化計画の議論が始まった。高めの成長率を前提にするなど悪弊を繰り返す心配はあるが、それでも今回の見直しは、「消費税率10%超」という避けて通れない議論を解禁する契機になるという意味では重要だ。
2018.1.18
シェアリングエコノミーが拡がり、副業や兼業も含めて様々な働き方が増える中で、サラリーマンと自営業者らの税負担を公平にしたり、一方で社会保障の漏れを無くしたりする制度改革の切り札は、個人の納税申告の電子化だ。
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