2021.6.16
G7声明は中国との「衝突の序曲」なのか、日本の国益にかなう道
中国が意識されたG7サミットは「専制主義対民主主義」の構図を浮き彫りにしたが、中国が今後、穏健化する可能性もなくはない。日本にとっても対中強硬路線にただ追随することが国益ではない。
日本総合研究所国際戦略研究所特別顧問/元外務審議官
1969年外務省入省。オックスフォード大学修士課程修了。北米局審議官、在サンフランシスコ日本国総領事、経済局長、アジア大洋州局長を経て、2002年より政務担当外務審議官を務め、2005年8月退官。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。05年9月より日本国際交流センターシニア・フェロー、2010年10月に(株)日本総合研究所 国際戦略研究所理事長に就任。22年12月から現職。著書に『見えない戦争』(中公新書ラクレ、2019年11月刊行)、『日本外交の挑戦』(角川新書)、『プロフェショナルの交渉力』(講談社)など。2021年3月よりTwitter開始(@TanakaDiplomat)、毎日リアルタイムで発信中。
2021.6.16
中国が意識されたG7サミットは「専制主義対民主主義」の構図を浮き彫りにしたが、中国が今後、穏健化する可能性もなくはない。日本にとっても対中強硬路線にただ追随することが国益ではない。
2021.5.19
コロナ禍の収束や経済回復でも欧米に取り残されているのは根拠のない楽観論に頼り、危機対応をしてこなかった政治の機能不全が原因だ。バブル後の長期停滞を招いたのと根は同じだ。
2021.4.21
ミャンマーや香港などでの人権抑圧問題に国際社会の関心が集まるが、日本は欧米の制裁アプローチとは一線を画して「対話と協力」で向き合うことを基本にしてきた。見直す必要はないのだろうか。
2021.3.17
菅首相が他の先進国首脳に先駆けて米大統領と会談するのは米国が対中国戦略で日本との連携を重視するからだが、日本は中国とも共通の利益を持つ「米中対立」のもと多層的外交戦略が必要だ。
2021.2.17
ミャンマーの国軍クーデターの背景には国民民主連盟を率いるスーチー氏と国軍との相互不信、確執があるが、国際社会は経済制裁の圧力をかけながらスーチー女史の釈放と両者の対話実現をまずは目指すことだ。
2021.1.20
コロナ禍から経済をいち早く回復させた中国だが、“中国排除”が強まる中で共産党統治が強化され、グローバル市場経済と結び付くことで実現してきた成長モデルとの相克が強まる。指導部内で路線闘争が起こる懸念もある。
2020.12.16
2021年の国際関係は各国のコロナの収束と経済回復スピードの違いが勢力バランスを変える要素になる。だが要の米国は感染収束の時期が見通せずバイデン新政権は体制固めに時間がかかり、国際秩序の不安定は続く。
2020.11.18
険悪化する日韓関係だが、世論調査では双方の国民にはお互いに重要な国という声が多数だ。両国の政権や政府は国内の一部の勢力を過剰に意識しすぎていないか。「等身大」の相手をお互いがまずは認識することだ。
2020.11.9
米国大統領選はまれにみる大接戦の末、「バイデン大統領」が誕生する見通しだが、新政権の最大の課題は、トランプ政権で加速した国を二分する深刻な「分断」の立て直しだ。対外政策も大きく変わる。
2020.10.21
建国100周年の2049年に世界の超大国になる「中国の夢」は実現しつつあるが、中国自身が一党独裁の強権政治や国家資本主義経済から変われるのか、また中国を変えられるかは、今後30年の国際政治の中心課題だ。
2020.9.16
菅新政権は、「配慮一辺倒」から是々非々でものを言う対米外交や拉致問題と北朝鮮非核化の一括解決など、「安倍外交の継承」では済まないくつかの重要な選択」を迫られる。
2020.7.22
中国の香港国家安全維持法の導入による香港の「中国化」は米中対立を決定的にするゲームチェンジャーであり、韓国の「朝鮮化」、ロシアの「ロシア化」など、日本の外交環境は激変した。安保外交戦略の抜本的な見直しが必要だ。
2020.6.17
中国が香港版国家安全法を制定に動きだし長く維持されてきた「一国二制度」は崩壊の瀬戸際だ。「香港の中国化」は台湾の“台湾化”、シンガポールの香港化、米中対立の一層の激化を招き、歴史の変節点になる。
2020.5.20
コロナ後、中国は独自の経済圏構築で動き、香港、台湾問題などの「核心的利益」では強硬姿勢を強める。米国はトランプ大統領が再選の見通しが暗くなるほど中国に厳しく向かう。限定的ながら米中の軍事的衝突もあり得る。
2020.4.15
新型コロナの感染拡大が止まらないのは、政府が医療現場や事業者らの切実な声に受け身で対応してきたからだ。首相は指導力を発揮せず組織的な意思決定も行われずガバナンスが崩壊している状況だ。
2020.3.18
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は経済活動停滞だけでなく、人の交流を減らし疑心暗鬼、不信感を強める。各国の政治は自国優先、ポピュリズムに一段と傾き、世界の分断が加速する可能性が高い。
2020.2.19
新型ウイルス問題での初期対応の遅れは官僚主義や中央政府の指示待ち、情報統制など共産党統治の構造的な欠陥を露呈した面がある。独裁化がいわれる習近平体制がどう変化するか、注視が必要だ。
2020.1.29
一国・大国主義や過激な主張外交を展開する為政者がポピュリズムに乗じて勢いを増す中、戦火を交えるわけではない「見えない戦争」が、世界のそこかしこで起きている。もはや日本に成すすべはないのか。日本外交の戦略家・田中均氏が生き抜くため知…
2020.1.15
米国とイラン、北朝鮮、さらには台湾をめぐって中国との軍事的緊張が高まる可能性がある。偶発的な衝突はあり得る。鍵を握るのは米大統領選が本格化する夏以降、トランプ大統領がどう動くかだ。
2019.12.18
2020年の国際情勢は米中対立や北朝鮮の瀬戸際外交などの「6つの地政学リスク」が依然として深刻だが、中でも大統領選での再選を目指すトランプ大統領が予見不可能な対外政策に打って出るリスクがある。
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