つみたてNISA(積立NISA)おすすめ比較&徹底解説[2024年]

「つみたてNISA」人気の裏にある“6つの落とし穴”を解説!「短期の元本割れリスク」「無理のない資金計画」「非課税期間終了間際の暴落リスク」などには要注意!

2023年3月24日公開(2023年12月26日更新)
頼藤 太希
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 投資で得られた利益が非課税になるお得な制度「つみたてNISA」。「つみたてNISA」は、金融庁の基準を満たす投資信託などの商品にコツコツ積立投資することで、堅実にお金を増やせると人気があります。

 金融庁の「NISA口座の利用状況調査」によると、「つみたてNISA」の口座数は約725万口座(2022年12月末時点・速報値)。その1年前の2021年12月末時点では約518万口座(確報値)ですから、1年間で200万口座以上も増えています。

 しかし、人気の「つみたてNISA」にもデメリットはあります。今回は、「つみたてNISA」に潜む落とし穴・注意点を6つ解説しましょう。

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「つみたてNISA」の落とし穴・注意点①
特に短期では「元本割れ」のリスクがあることを理解しておこう

 「つみたてNISA」は、投資の利益を最長20年にわたって非課税にできる制度です。現行のNISAには、つみたてNISAの他に「一般NISA」と「ジュニアNISA」がありますが、一般NISAとジュニアNISAの非課税投資期間は5年間。その点、つみたてNISAは非課税投資期間が20年と長くなっています。つまり、そもそも、投資を長く続けることで資産を増やそうという制度なのです。

 2022年には、つみたてNISAの新規口座数が200万口座以上となり、つみたてNISAの人気が高まりました。しかし、2022年からつみたてNISAを始めた人は、2023年の現時点では損を抱えているか、利益が出ていてもごくわずかという場合が多そうです。

 たとえば、2022年1月から「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に毎月3万円ずつの投資を始めた場合、2023年2月末までの投資元本42万円は約42.9万円と、かろうじてプラスになっています。しかし、2022年12月末や2023年1月末時点では元本割れでした。

 また、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」に毎月3万円ずつ投資した場合は、2023年2月末までの投資元本42万円は43.4万円に。こちらもなんとか利益が出ている感じです。

●2022年1月から2023年2月末まで「つみたてNISA」で月3万円投資していたら?

 一方で、2018年からつみたてNISAを始めていたら、2023年2月末までの結果は以下のようになっていました。

●2018年から2023年2月末まで「つみたてNISA」で月3万円投資していたら?

 「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は2018年7月、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は2018年10月から運用が始まった投資信託です。

 もしも運用開始時から毎月3万円ずつ投資していたら、2023年2月末時点で「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は投資元本168万円に対して約74.5万円、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は投資元本159万円に対して約54.7万円の利益が出ています。

 つみたてNISAが堅実に資産形成できると言われているのは、20年間にわたって投資するからです。1〜5年の短期で見れば、儲かったり、損をしたりします。実際、金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」でも、5年間での投資では元本割れがあるのに対し、20年の投資では元本割れの可能性が減ることが過去データから示されています。

■保有期間5年と20年で元本割れのリスクは大違い

引用元:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 注1)1985年以降の各年に、毎月同額ずつ国内外の株式・債券の買付けを行ったものです。各年の買付け後、保有期間が経過した時点での時価をもとに運用結果及び年率を算出しています。これは過去の実績をもとにした算出結果であり、将来の投資成果を予測・保証するものではありません。
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 言い換えれば、短期間で利益を出したい人や、どうしても相場の上げ下げが気になってしまう人には向いていないということ。つみたてNISAは長期間取り組んでこその投資だということを押さえておきましょう。

「つみたてNISA」の落とし穴・注意点②
無理な資金計画で積立投資を始めないようにしよう

 「つみたてNISA」は、一度、積立投資の設定をすれば、決まった日にお金が引き落とされて積立投資が自動的に行われます。手間がかからない点はいいのですが、スタート時の勢いで無理な金額で積立を設定してしまうと、いざお金が必要になったときに対処に困ることになるかもしれません。

 つみたてNISAの資産はいつでも換金して引き出すことができます。ただし、引き出そうと思ったときに元本割れしていると気持ちの面で引き出しにくいですし、引き出したら損失が確定してしまいます。

 そこで、まとまった額の貯蓄のない人はすぐにつみたてNISAを始めるのではなく、生活費の6カ月〜1年分の預貯金が確保できてから、つみたてNISAを開始するようにしましょう。また、それほどの預貯金がない場合は毎月の積立金額も家計に無理のない範囲にする必要があります。

 せっかくのつみたてNISAも、長く続けることができなければ平均購入単価を下げる「ドル・コスト平均法」や、利益が新たな利益を生み出す「複利効果」も十分に得られません。
【※関連記事はこちら!】
「つみたてNISA」を始めたばかりの人が意外と知らない「複利」や「ドル・コスト平均法」の効果を詳しく解説!お金を効率よく増やすためには「長期・積立」が大切!

 また、自分のリスク許容度を超えた運用になっていないかを確認することも大切です。リスク許容度とは簡単に言うと、「自分が損にどのくらい耐えられるか」の度合いです。リスク許容度は、収入・資産・年齢・投資経験などによって変わります。また、客観的に見て「リスク許容度が高い」と思われる人でも、リスクに対して慎重な考え方をしている人は、リスク許容度が低いと言えます。

 自分のリスク許容度に見合わない投資をしていると、日々の値動きが気になってしまい、落ち着いて投資を続けられなくなってしまいます。長く投資を続けるためにも、家計に無理のない積立金額で積み立てを行い、自分のリスク許容度に見合った商品を選ぶようにしましょう。

「つみたてNISA」の落とし穴・注意点③
「資金を10倍にしたい」「配当・優待がほしい」なら“新NISA”で

 「つみたてNISA」で購入できる商品は、金融庁の基準を満たした①手数料が安く、②長期・積立・分散投資に適すると考えられる投資信託・ETF(上場投資信託)です。商品のラインナップは200本以上あります。
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つみたてNISA(積立NISA)対象商品を一覧で紹介! インデックス型投資信託とアクティブ型投資信託、ETFの取り扱い金融機関や信託報酬、騰落率に注目!

 ただ、6000本近くある日本で購入できる投資信託のなかの約200本ですから、つみたてNISAの対象商品はごく一部の投資信託ともいえます。とくに、「低コスト」であることが条件にあるので、アクティブ型の投資信託は少なくなっています。アクティブ型の投資信託のなかにも成績のいい商品はあります。しかし、つみたてNISAの対象商品でなければ、つみたてNISAでその商品を買うことはできません。

 また、現状のつみたてNISAでは、個別株・REIT・海外ETFなどには投資できません。ですから、以下のような人にはつみたてNISAは向きません。

・株価が10倍・100倍になることを目指した株式投資をしたい人
・配当目的で、個別株やETFを購入したい人
・株主優待の長期保有特典と配当投資狙いの人

 NISAのなかでも「一般NISA」であれば、個別株・REIT・海外ETFなどに投資ができます。しかし、一般NISAは非課税期間が5年間なので、時間をかけるような投資には向きません。

 なお、2024年からは一般NISAやつみたてNISAといった現行NISAの買付が終了し、新しいNISAの制度がスタートします。新しいNISAは非課税期間が無期限となります。つみたてNISA同様の「つみたて投資枠」で積立投資をしながら、一般NISAに近い「成長投資枠」で個別株・REIT・海外ETFなどに投資して、時間をかけた非課税投資をすることができます。
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2024年に始まる「新しいNISA」を解説! 非課税保有期間は無期限、投資限度額は年360万円に拡大など、「つみたてNISA」「一般NISA」との違いや活用法を解説

「つみたてNISA」の落とし穴・注意点④
非課税枠は使い切り!持ち越せないし復活もしない

 「つみたてNISA」を利用して非課税で投資できる投資金額(非課税枠)は年40万円まで。しかし、この非課税枠を使い切れなかったとしても、余った非課税枠を翌年以降に持ち越すことはできません。だからといって、「持ち越せないから」と非課税枠をむりやり使うこともおすすめしません、無理な金額の投資につながり、家計が破たんしてしまうこともありえるからです。

 また、つみたてNISAでは商品を売却しても非課税投資枠は復活しません。たとえば、つみたてNISAで2020年に40万円で投資した銘柄は、2039年まではいつ売却しても利益は非課税になる状態で保有できます。しかし、2023年に売却すると、2024年から2039年まで利用できたはずの非課税期間を放棄することになってしまうのです。

つみたてNISAを短期売却して20年間の非課税期間を放棄するのは損(株)Money&You作成
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 つまり、非課税期間をフル活用するには、非課税期間内に売却しないことが大事なのです。とはいえ解約したいときもあるでしょう。どうしても解約しなければならいときにモヤモヤが残るのも残念です。せっかくの長い非課税期間が解約のしづらさにつながっているのです。

 2024年から始まる新しいNISAでは、その点、資産が「生涯投資枠」で管理されるため、「年内に非課税投資枠を使い切らないと損」とはなりません。また、商品を売却しても、翌年に売却枠が復活するので、投資しやすくなります。

「つみたてNISA」の落とし穴・注意点⑤
非課税期間終了時点で株価が暴落すると不利になる!

 「つみたてNISA」の資産は、非課税期間終了後に課税口座(特定口座または一般口座)に移されます。つみたてNISA口座から課税口座に資産を移すときには、その移した時点での金額が新しい取得価格となります。つまり、つみたてNISAの20年間の運用期間内の利益には、20年経過後に課税口座に移したあとも税金がかからないのです(課税口座に移したあとに発生した利益には税金がかかります)。

 しかし、課税口座に移す直前に暴落が起きる可能性もないとはいえません。非課税期間が終わる直前に暴落があると、課税口座に移せる利益が少なくなってしまいます。課税口座に移してからも運用を続けて、仮に資産が回復したとしても、課税口座に移した後に生じた利益については課税されてしまうのがつらいところです。

 なお、2024年から始まる新しいNISAは非課税期間が無期限なので、非課税期間を気にせずに投資を続けることができます。暴落があっても、そのまま非課税の運用を続けて値が戻すのを待つという戦略を取ることができます。
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2023年中に「つみたてNISA」を始めたほうがいい理由を解説! 2024年に始まる「新しいNISA」の金融機関の選び方、現行NISAの活用法など“6つの疑問”に回答!

つみたてNISAの落とし穴・注意点⑥
「損益通算」や「繰越控除」ができない

 複数の証券口座などで投資をしているときに生じた利益と損失を合算(相殺)して、本来の利益を用いて税金を計算することを「損益通算」といいます。

 たとえば、「口座Aでは50万円の損失、口座Bでは20万円の利益」があった場合、損益通算をしないと口座Bの20万円の利益に対して税金がかかってしまいますが、損益通算をすることで、この年は20万円から50万円を引いた「30万円の損失」となり、利益が出ていないことから、税金がかからなくなるというわけです。

 さらに、損益通算で引ききれなかった損失は、最大3年間にわたって繰り越し、翌年以降の利益から差し引くことができる「繰越控除」という仕組みもあります。

 しかし、「つみたてNISA」では、そもそも利益や損失が「なかったもの」として扱われるため、損益通算や繰越控除ができません。これは、2024年から始まる新しいNISAでも同様です。

 以上、つみたてNISAの落とし穴・注意点を6つ紹介してきました。つみたてNISAは投資で得られた利益にかかる税金が非課税になるお得な制度ですが、思わぬ損を被ることもあります。2024年から始まる新しいNISAでは、いくつかの問題は解消しますが、注意すべき点には注意して、資産形成に取り組みたいですね。

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頼藤太希(よりふじ・たいき)
(株)Money&You代表取締役/経済ジャーナリスト 中央大学客員講師。慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。2015年に(株)Money&Youを創業し、現職へ。女性向けWebメディア『FP Cafe』や『Mocha(モカ)』を運営すると同時に、資産運用・税金・Fintech・キャッシュレスなどに関する執筆・監修、書籍、講演などを通して日本人のマネーリテラシー向上に注力している。『1日1分読むだけで身につくお金大全100』(自由国民社)、『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)など著書多数。日本証券アナリスト協会検定会員、ファイナンシャルプランナー(AFP)、日本アクチュアリー会研究会員。
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ネット証券大手の一つで、新NISA口座では日本株の売買手数料無料に加えて、米国株式&海外ETFの売買手数料も無料!「つみたて投資枠」対象商品のほとんどの投資信託を取り扱っており、すべてノーロード(購入時手数料が無料)。投資信託の積み立ては「100円」から可能で、少額から始めたい人に対応。「毎月積立」だけでなく、「毎週積立」「毎日積立」も選べる。三井住友カードなどによるクレジットカード決済「クレカ積立」を利用すると、カードの種類やその他の条件によってポイントが貯まる。「投信マイレージ」では保有額に応じたポイントも獲得できる。「成長投資枠」では米国株、中国株、韓国株、ロシア株(現在、注文停止中)、ベトナム株、インドネシア株、シンガポール株、タイ株、マレーシア株など海外株も豊富。単元未満株(1株から日本株が買える)「S株」は東証の全銘柄が対象で、成長投資枠で投資可能。売買手数料はゼロ円だ。「S株」では積立サービス「日株積立」を開始。株数指定(1 株単位)、金額指定(1000円以上、500円単位)で積立ができるようになった。カスタマーサービスセンターは「NISA・投信土日専用デスク」があり、週末も問い合わせに対応しているのも便利。「J.D.パワー2024年NISA顧客満足度調査 」<証券部門>にて、総合満足度ランキング1位を受賞した。
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2024年1月4日以降、新NISA口座では、日本株の売買手数料が全額キャッシュバックされ、実質無料に(上限なし)。投資信託は従来から購入手数料が無料となる「ZEROファンドプログラム」を行っているため、一括購入、積立買付とも手数料が無料だ。投信積立については、1銘柄あたり毎月100円から。低コストの人気ファンドを数多く取りそろえている。ファンド選びに迷った場合は、各自のリスク許容度に合わせた銘柄と投資割合を提案する「投信ロボ」が心強い。また、投資信託の平均保有残高が1000万円以上(プラチナ)、3000万円以上(プレミアゼロ)の場合は、信用取引の手数料が優遇されたり、IPOの当選確率がアップするサービスも提供している。単元未満株の取引も可能で取扱銘柄数も多いが、売買手数料は約定代金2万円まで220円、3万円まで330円、10万円まで660円(すべて税込)などだ。
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【GMOクリック証券の新NISA口座のおすすめポイント】
新NISA口座なら日本株の売買手数料が無料! 投資信託の取扱本数は多くないもののノーロード投信や信託報酬の低い投信が豊富だ。「100円」から積立が可能なのも魅力。GMOクリック証券は、ここ数年、急激に株式市場での売買代金シェアを増やし、個人投資家の支持を集めている。新NISA対応ではないがFXやCFDなど商品ラインアップが豊富なので、新NISAを入口にさまざまな投資に挑戦したい人におすすめ!
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サービス手数料:
資産残高の0.693〜0.733%(年率・税込)※
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国内外のETFに分散投資をするロボアドバイザー「ウェルスナビ」はNISA口座にも対応。5つの質問に答えるだけで最適なポートフォリオを提案し、毎月自動的に積立投資をしてくれるので、初心者でも簡単に効率的な運用を実行できる。2024年からの新NISAなら、つみたて投資枠と成長投資枠の両方で資産を購入することで最大で年360万円まで投資可能! 運用コストとしては、一般的な証券会社のような売買手数料ではなく、資産残高に対して決まった割合のサービス利用料を負担する形なので要注意。また、楽天証券と提携した「ウェルスナビ×R」も提供している。その場合、楽天カードや楽天キャッシュを利用し、楽天ポイントを貯めたり、楽天ポイントを利用した購入・積立が可能となる。

※ NISA口座に自動積立だけで入金した場合で試算した手数料。リスク許容度(ポートフォリオ)により異なる。また、各商品の値動きによりポートフォリオのバランスが崩れた場合は、手数料が表記の範囲を超えて変動する可能性がある。
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※手数料などの情報は定期的に見直しを行っていますが、更新の関係で最新の情報と異なる場合があります。最新情報は各証券会社の公式サイトをご確認ください。売買手数料は、1回の注文が複数の約定に分かれた場合、同一日であれば約定代金を合算し、1回の注文として計算します。投資信託の取扱数は、各証券会社の投資信託の検索機能をもとに計測しており、実際の購入可能本数と異なる場合が場合があります。※1 年会費無料のクレジットカードの場合。※2 1約定ごとプランで約定金額240万円までの売買手数料。

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