膨大なデータを分析し、ビジネスの次の一手を示したり、自動的に最適な状態に調整するデータ駆動型の企業経営に注目が集まっている。
データ駆動型経営を実践する際、とくに進化が著しい「AI」と、低コストなセンサーやネットワーク機器なども登場し、実用期に入った「IoT」の2つの分野を組み合わせることで大きな成果を挙げることができる、と説明するのは、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ技術開発部の伊藤浩二担当課長だ。
センサーデータやWebログ、画像や音声など、IoT機器が生み出す膨大な量のデータを、そのまま人間が分析するのは事実上不可能。一方でIoTのデータは複雑でフォーマットがそろっていないため、一定のルールを組んで分析することもできない。そこでAIを使い、非構造化データを読み取ることで、役に立つ分析結果を自動的に得ることができるという。
伊藤氏が一例として挙げるのが、交通事故防止への取り組みだ。自動車に取り付けたドライブレコーダーの映像から事故の兆候を見つけ出すサービスを提供する日本カーソリューションズとエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズが共同実験を開始した。
日本カーソリューションズでは従来から、映像データを目で見て事故につながる「ヒヤリ・ハット」の瞬間を見つけていた。しかし、人による作業には限界を感じ、AIを用いた自動判定ができないかと考えた。それに対してエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズは、映像分析だけでなく車両に取り付けたセンサーデータを組み合わせて分析することで、非常に高精度に危険なシーンを抽出することに成功。実験では85%の精度で「ヒヤリハット」の瞬間を自動的に抽出できたという。IoTのデータ+AIの分析能力で、ビジネスを大きく飛躍させる可能性が見えてきた。
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