社員が実際に働く姿を見せる「ライブオフィス」を通じて、常に新しいオフィスを提案してきたコクヨ。その根底には「ウェルビーイング」の考え方がある。それはまた、企業が国際ビジネス競争に勝つための一つの施策でもある。

「DAYS OFFICE」
スピーディな経営判断や新たな発想は、コミュニケーションから生まれる。その考えの下、気軽に人が集まり、立ち止まり、会話が生まれやすい距離感を生むビッグカウンターのカフェコーナーをはじめとするコミュニケーション空間を提案。また、大掛かりな内装工事を伴わずに、従来のオフィス概念にはない執務環境が実現できる

 1905(明治38)年、創業者・黒田善太郎は、大福帳など和式帳簿の表紙という、誰もやりたがらない手間がかかってもうけの少ない事業を始めた。コクヨの企業理念「商品を通じて世の中の役に立つ」、その顧客目線は、ステーショナリー業界のリーディングカンパニーとなった現在まで受け継がれてきている。

 それから半世紀後の1960年にスタートしたオフィス家具事業においても、「ウェルビーイング(Well-being/心身および社会的に良好な状態)」という概念すら生まれていない頃から、オフィス家具は、それを使う人の健康や良好な人間関係にどのように寄与できるかを追求してきた。

 それを一つの形として示したのが、69年の大阪本社竣工に合わせて全館をショールームとする「ライブオフィス」(同社の登録商標)だ。最新のオフィス空間で働く同社社員の姿を公開し、新しい働き方、新しいレイアウト、新しいオフィス家具を提案するとともに、それがどのような効果を上げるかを検証する実験の場でもあった。