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これからのIT活用のメインストリームとしてAIに注目が集まっている。人間に代わって人やものを判別したり、膨大なデータベースから最適なユースケースを抽出したり、企業の顔としてユーザーと会話をしたりするなど、その適用範囲は広い。米国ではすでにAIの本格的な活用事例も出始めている。そのいくつかを紹介しながら、今後の動向を探ってみる。

専門医でも難しい診断を
AIが支援する

 AIとこれまでのシステムとの大きな違いは、人間がプログラムを用意するのではなく、膨大なデータの処理モデルを、AI自らが考え出す能力を持つことだ。それだけに、想像もつかない新しい使われ方が生まれてくると期待されている。

 世界の総売上上位500社を示す「Fortune Global 500」のうち3割を超える企業が、すでにAIを活用していると言われる。実際に、医療機関やヘルスケア、小売業、輸送業など、さまざまな業種業態でAIが導入され、人間の能力を上回る成果も上がりつつあるという。

 その一例として注目したいのが、米国のウェストバージニア大学心臓血管研究所における、AIによる心臓疾患の診断支援である。これは同研究所の医師の一人が、さまざまな分野で活用が進む機械学習を、診断のサポートに使いたいと考えたことが発端だった。

 心臓病の一つに収縮性心膜炎という病気がある。心臓を包んでいる心膜という膜に炎症が発生し、心臓に流れ込む血液の量が減ることで、さまざまな症状が現れる。呼吸困難、継続的な疲労、足のむくみ、脱力感などがその代表的な症状だ。

(写真はイメージです)

 しかし、厄介なことに、ウイルスやアルコール、毒物、免疫障害などが原因で起きる心筋症でも同様の症状が現れる。心臓の内側と外側で発生する病気であり、当然、治療方法も違う。それだけに誤診は大きな事故につながる。この二つの異なる病気の診断はベテランの専門医でも難しく、優れた技術と豊富な経験を持つ医師でも正しく診断できるのは4回のうち3回、一般の医師では2回に1回の割合でしかないという。

 そこで同研究所では、収縮性心膜炎の患者15人と、心筋症の患者15人のデータをAIツールに取り込んで分析する実証実験を行った。心臓内の6カ所90項目から、心臓の鼓動ごとに1万件ものデータを収集し、機械学習の手法を取り入れて分析して、診断に関する洞察結果をリアルタイムに医師に提供するものだ。

 この実証実験の結果は上々だった。二つの病気は90%以上の確度で診断され、AIシステムの学習速度も向上した。AIが医師の専門的な診断を支援できるということが証明されたのである。

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