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長引く景気低迷に加えて世界経済がますます不透明感を増す現在、多くの企業が体質改善に取り組んでいる。そうしたなかで、企業にとって最も重要なリソースである“ヒト”に関する人事・組織の問題は、さらに大きな比重を占めてきている。ビジネス環境が激変するなかで、企業の人事・組織戦略は今後どのようにあるべきなのか。

グローバル化に向けて
求められる人事制度の改革

社員一人ひとりの適性に合った育成・配置や、有能な人材の確保は企業の人事部にとって重要な課題だが、最近ではそれに「グローバル人材の育成」も加わってきている。多くの企業が問題意識を持ちながらも、なかなか対応できていないのが現状だ。さまざまなアンケート調査結果を基に、日本企業の現状と問題点を探った。

 国内市場の縮小、グローバル競争の激化など、ビジネス環境が大きく変化するなか、企業の人事・組織戦略も対応を迫られている。

 日本生産性本部「生産性新聞」が行ったアンケート調査によると、企業が抱えている最も重要な人事課題は、「次世代幹部候補の育成」(21.7%)、「従業員の能力開発・キャリア開発支援」(15.1%)、「優秀な人材の確保・定着」(11.8%)が上位を占めている(2010年度「人事部門が抱える課題とその取り組み」)。

 じつは、この三つの課題は例年上位を占めているのだが、同調査で急上昇している項目がある。これらに続く4番目の「グローバル人材の登用・育成」(9.4%)だ。前年調査の2.7%から3倍以上の伸びを示しており、企業の問題意識の高さがうかがえる。

グローバル化に対する
問題意識と現状

図1 グローバル人材育成の必要性 出典:産労総合研究所「第34回 教育研修費用の実態調査」(2010年10月)

 グローバル化対応への問題意識は、ほかの調査でも見て取れる。産労総合研究所の「第34回教育研修費用の実態調査」(10年10月発表)によると、グローバル人材育成の必要性を感じている企業は、海外拠点や海外との取引実績の有無といった条件をすべて合わせると、80%にも上っている(図1)。

 では実際に企業がどのような取り組みをしているかというと、「語学研修を実施」「人事ローテーションの一環として、海外拠点へ配置」「海外研修を実施」といった内容(図2)。同調査では、こうしたグローバル人材育成の取り組みの自己評価もしてもらっており、その結果は70%近くの企業が「やや不十分」「不十分」と感じているという結果が出た。

図2 グローバル人材育成の取り組み状況 出典:産労総合研究所「第34回 教育研修費用の実態調査」(2010年10月)

 産業能率大学総合研究所が今年2月から3月にかけて行った「グローバル人材の育成と活用に関する実態調査」(速報版)では、さらに深刻な結果が出ている。

 「グローバル化にかかわる問題状況」について聞いたところ、「国内の従業員のグローバル化対応能力が不足している」の項目で80.7%、「グローバルリーダーの育成がうまく進んでいない」で76.8%、「日本の職場のグローバル化対応(外国人社員のマネジメントなど)が進んでいない」では75.9%の企業が、「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」と答えている。

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