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いまや、高校生の2人に1人が4年制大学に進学する時代。受験生は、「入れる大学」ではなく「入りたい大学」を検討するようになった。一方、大学・大学院は学生獲得に向け、社会の新たなニーズを探りながら学部・学科の新設や、カリキュラムの刷新などに積極的だ。これらの動向と進学先選びのポイントについて、大学通信常務取締役の安田賢治氏に聞いた。

「誰のための大学か」
学生第一、教育機能重視の動きを加速

 「受験生の大学選びの基準が、確実に変わっています」と、大学通信常務取締役の安田賢治氏は切り出した。いわゆる進学校の進路指導担当に、生徒に人気のある大学の条件を尋ねたところ、最新の2011年の調査では「資格が取得できる大学」がトップとなった。この調査を始めた03年は、「自分のしたい勉強ができる大学」が他の回答を引き離し、80%以上となっていた。「勉強するために大学に進学するというより、仕事を得るために進学するという狙いが強まっているようです」と、安田氏は分析する。同じ調査で、「就職に有利な大学」という回答が03年の第5位から11年には第3位に上昇していることからも、こうした傾向がうかがわれる。

 受験生が志望校選びの際に重視していることを尋ねた回答でも、「就職状況」は55.7%で第5位となっていた。49.9%で第7位だった03年と比較しても、就職を重視しているのがわかる。

 背景にあるのは、もちろん、このところの就職難である。大学を卒業したときに企業などに就職できるか、または、一生仕事に困らないような資格を得られるかが、受験生にとっても、保護者にとっても、最大の関心事となっている。これに対して安田氏は、「就職だけで大学を選んでいいものでしょうか」と、疑問を投げかける。
「むしろ、自らの学びたいことに全力を傾ける学生生活こそ、その後の社会で生きていくための大きな糧になるのではないかと思います」(安田氏)

短期間に多くを学ぶ
実践的カリキュラム

安田賢治氏大学通信学校戦略支援センター。情報調査・編集部ゼネラルマネージャー。常務取締役。1956年兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、大学通信入社。中学受験から大学受験まで幅広くカバーし、書籍編集とマスコミへの情報提供を担当。各誌への執筆も多い。

 ところで、大学が果たす役割は、保護者の学生時代とは様変わりの感がある。「以前に比べて大学に求められる学びの範囲が拡大しているのです」と、安田氏は指摘する。というのも、ゆとり教育を受けてきた学生が、大学の学びや研究にすぐに適応できるとは限らない。コミュニケーションなど基礎的な力をつけるトレーニングが必要だ。一方、企業は長期間にわたって新人研修を実施するゆとりを失っている。このため、できるだけ早く戦力になる学生を採用したいと考えている。そのうえ、就職活動は3年次からスタートする。学生は、より短い期間でより多くの教養や知識、実践的な力を身につける必要があるのだ。

 こうした要請に応えるため、大学のカリキュラムも大きく変わっている。特徴的なのが、初年次教育の充実だ。高校までの、いわば与えられた学びから、大学の自律的な研究・学びへ移行するための、基礎的な力を養うカリキュラムが多数採用されている。課題を見つけて解決に導くプロセスの習得や他の意見を傾聴し自らの意見を発信するコミュニケーション能力の養成。英語をはじめ基礎的な学力の確認・補習などに力を入れるケースが少なくない。キャリア教育、少人数教育も新たなカリキュラムのキーワードになっている。

 「いまや、勉強をせず遊ぶ学生は少数派。大学に入ったら勉強するという意識の高い学生が多く、大学も面倒見よくそうした学生の期待に応えています」

 さらに、新設学部・学科も目立つ。資格取得を目指す医療系や従来の学部の枠にとらわれない、学際的な実証研究と実践教育を目指す学部など、今日的なニーズをとらえるものが多い。

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