「子どもに英語をマスターしてほしい!」――そんな願いを持っている親御さんは少なくないだろう。しかし、そんな人でも「英語がペラペラになればそれでいい」などとは思っていないはず……。むしろ、本当にわが子に身につけてほしいのは、世界のどこでも生きていける頭のよさ、つまり「本物の知性」なのではないだろうか。
実際、応用言語学や脳科学、教育心理学などのアカデミックな研究では「外国語学習の機会が、子どもの知力やIQを高める」といった知見が蓄積されつつあるという。
いま、こうした科学的根拠(エビデンス)に基づいた指導によって、子どもたちの英語力を着実に伸ばし、人気を集めている英語塾があるのをご存知だろうか。元イェール大学助教授の斉藤淳氏が代表をつとめるJ PREPだ。
本連載では、同氏の最新刊『ほんとうに頭がよくなる 世界最高の子ども英語――わが子の語学力のために親ができること全て!』から、一部抜粋して「ほんとうに頭がいい子」を育てるための英語学習メソッドを紹介する。

子どもは「親の学ぶ姿勢」を見ている

子どもはお母さん・お父さんが真剣に何かを学ぶ姿をよーく見ています。「真面目にやりなさい」「もっとがんばりなさい」と何度も口うるさく言われるよりも、親自身が学ぶ姿勢を見せるほうがはるかに効果的だったりします。

子どもの立場になって想像してみてください。「もう手遅れだから」を言い訳にして、自分は学ぶことを完全に放棄し、一方的に勉強を押しつけられたら、子どもだっていい気分はしないでしょう。「一緒にがんばってみようかな」と言ってくれる親の存在は、何ものにも代えがたいと思います。

SLA(第二言語習得理論)の世界では、語学習得のモティベーションを維持しながら、効率的に学習を進めていくための方策、すなわち、学習ストラテジー(Learning Strategy)についての研究があります。その一つとして言われるのが、社会ストラテジー(Social Strategy)です。一人で孤独に勉強するのではなく、社会的なつながりのなかで一緒に学ぶ人がいたほうが、語学習得は成功しやすいという知見です(Oxford, 1990)。

これは子どものためばかりではありません。自分一人のこととなると、つい「今日は面倒臭いなあ、勉強はいいか」「仕事で疲れて眠たいし、ちょっと手を抜いちゃおうかな」となってしまいますが、子どもと一緒ならがんばれるというお母さん・お父さんは多いはずです。語学は継続が肝心です。子どもがうまく勉強を続けられるよう、最適な「戦略」を立てていただければと思います

また、もしまだお子さんが小さくて、これから親子で一緒に英語をはじめるのだとすれば、彼らが中学生や高校生になるころには、きっとみなさんの英語力を追い抜いていることでしょう。そのときにはぜひ、お子さんを思いっきり褒めてあげてください

一緒に英語を切磋琢磨してきた仲間でありライバルでもあるお母さん・お父さんに認められれば、最高にうれしいはずです。その達成感は、英語を学ぶこと、そして、英語を通じて知性を磨くことへのさらなる原動力になってくれるでしょう。