【問題】
わが国では毎年さまざまな自然災害による被害が発生しています。今後特に対策に力を入れるべき自然災害を挙げた上で、行政はそれにどのように取り組んでいくべきか述べなさい。
(1000字以内、制限時間60分)

高評価の解答例

 今後、わが国では特に地震対策に力を入れていくべきである。なぜなら、首都直下、南海トラフ地震などが極めて高い確率で発生することが予測されており、いずれの地震でも大きな被害が想定されているからである。例えば南海トラフ地震では、最悪の場合30万人以上の死者、200兆円以上の経済的被害が生じるとされる。しかし、対策を取れば被害は軽減できるといわれており、事前の備えを強化していくべきである。
 行政は、大地震から住民の生命や財産を守るために、ハード、ソフト両面から取り組んでいくべきだ。まずハード面では、建物の耐震性を高める必要がある。過去の大地震でも、建物の倒壊で多くの人が犠牲となっている。病院や学校などの公共施設は、行政が主体となって耐震化工事を急がなければならない。こうした施設は震災時に避難所や救援の拠点となるもので、その意味でも重要だ。また個人の住宅についても、旧耐震基準で建てられたものを対象に、耐震性の診断や工事費の助成金制度を充実させるなどして、対策を促す必要がある。この他、沿岸部の高い津波が予測される地域については、防潮堤や津波タワーなどを整備し、住民の命を守れるように備えておかなければならない。
 次にソフト面として、住民の防災意識を高めていくことが必要だ。ハード面をどのように強化しても、住民の自主的な備え、判断、行動が伴わなければ効果が半減するからだ。そこで、行政職員が自治会単位で防災教室を開き、防災袋の準備や避難経路の確認など、住民自身で地震に備えることの重要性を啓発していく必要がある。さらに、普段防災をあまり意識していない住民に対して、イベントなどを通じて関心を高めてもらうことも大事だ。防災イベントを開催して家族連れなどに来てもらい、地震実験車で地震の怖さを体感する場を作ったり、防災グッズを紹介したりすることは防災意識を持ってもらう良いきっかけとなる。また、学校教育の中でも防災教育を強化し、日頃から備えておくことや、実際に地震が起きた際に取るべき行動を子どもの頃から教えておくべきである。
 首都直下や南海トラフなどの地震は「起こるかどうか」の問題ではなく「いつ起こるか」の問題だと言われる。少しでも被害を減らせるように、行政が中心となってこれらの施策を積極的に進めていくべきである。

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第1段落で、問題で聞かれていることの1つめに当たる「特に対策に力を入れるべき自然災害」について答えています。

第2段落から第3段落で、聞かれていることの2つめ「行政はそれにどのように取り組んでいくか」に答えています。最後の段落は、全体のまとめです。

各項目の字数配分は適切ですし、中身が具体的に書けており、合格答案だと言えます。