個人情報保護の観点などもあり、ビジネスユースでのモバイル活用の敷居は高い。しかし、スマートフォンがコンシューマー市場で浸透しながら、その機能を進化させている今、新しいモバイルコンピューティングに期待が集まっている。スマートフォンだけでなく、タブレット端末などを含む、「スマートデバイス」のビジネス活用の課題について専門家に聞いた。
従来の携帯との違いは二つ。
「アプリ」と「クラウド」
片山雅弘
IDC Japan
PC、携帯端末&クライアントソリューション
グループマネージャー
半導体、液晶開発に携わった後、デスクトップPC、周辺機器の製品企画を担当し、IDCJapanへ。PC、携帯端末、クライアントソリューションの各調査を統括。スマートフォンなどを活用したビジネスモビリティ市場の動向についても、Worldwideとの協業の下、包括的な調査・分析を牽引している。
IDC Japan
PC、携帯端末&クライアントソリューション
グループマネージャー
半導体、液晶開発に携わった後、デスクトップPC、周辺機器の製品企画を担当し、IDCJapanへ。PC、携帯端末、クライアントソリューションの各調査を統括。スマートフォンなどを活用したビジネスモビリティ市場の動向についても、Worldwideとの協業の下、包括的な調査・分析を牽引している。
「2011年、スマートフォンの出荷台数は携帯端末市場全体の約5割に達しました。2台に1台がスマートフォンだったわけです。そして12年、IDC Japanでは4台のうち3台がスマートフォンになると予測しています」
IDC Japanの片山雅弘氏はこう語る。すなわち、今後はスマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイスで市場は埋め尽くされていくことが予想されている。他方、片山氏は「そもそも従来型の携帯電話とスマートフォンは本質的に異なる存在」とも語る。「昨年行った調査でも、80%以上の人がスマートフォンを『携帯電話の延長線上』ではなく、『まったく新しいモバイルコンピュータ』ととらえている。ビジネス活用の面でも、この『相違』に目を向けてほしい」と。
「両端末の違いを示すキーワードの一つはアプリ。たとえば社員がスマートデバイスに共通のアプリをインストールすれば、そのアプリが提供する機能を全員が共有できる。もちろん従来の携帯電話でもシステムやネットワーク構築を独自に行えば可能でしたが、その手軽さやコストが圧倒的に違う。スマートフォン向けアプリの市場はすでに急拡大しています」
IDC Japanでは、スマートフォンのコンシューマー市場が今後国内だけでも2870万台にまで拡大すると推計。だからこそ、「BYOD」という発想への期待が広がっているのだと片山氏は言う。