LCCによる価格破壊やボーイング787の就航など、航空業界に変化の波が押し寄せている。旅行業界でも、インターネットを駆使した便利で格安なサービスの充実が著しい。お得な旅行を実現するには、それらをどう使いこなせばいいのか。航空・旅行ジャーナリストの緒方信一郎氏にアドバイスをもらった。

 

 ここ最近、航空業界をにぎわしている話題といえば、LCC(ローコストキャリア)だ。機内食や飲料、荷物預かりなどの機内サービスを有料化し、シートの間隔を狭くして輸送客数の最大化を図り、客室係による機内清掃で人件費を削減するなど、徹底的なコストカットにより格安運賃を実現している。

 日本と海外を結ぶ路線にはすでに数社のLCCが就航しており、2012年から国内線にもJAL系のジェットスター・ジャパンなど複数LCCが就航する予定だ。

価格だけではない
LCCの魅力と使い方

 航空・旅行ジャーナリストの緒方信一郎氏はLCC活用のポイントをこう説明する。

「格安運賃が魅力のLCCですが、ビジネスで使う際には注意が必要です。

 可能な限り航空機を有効活用させているため、前に飛んだ路線での影響で定刻どおりの運航ができないことがあります。空港使用料を抑えるために、沖止め(ターミナルから離れて駐機)している航空機までバスで移動しなければならなかったり、乗り入れ空港がその都市の近郊にある第二空港だった場合は、都心までの移動に時間を要したりすることもあります。

 また、LCCはさまざまな経営努力でコストを抑えるローコストなのであって、必ずしもロープライスを意味するものではありません。便によっては大手航空会社の格安航空券のほうが安くなる場合もあります」

 ビジネスでは難しくても、プライベートならLCCは魅力的だ。なにしろ片道数千円から海外に行けるのだから。緒方氏が特に勧めているのが、エコノミーより上のクラスの利用だ。

「あまり知られていませんが、LCCにも広々としたシートの上級クラスがあります。たとえばオーストラリアなどへは片道10万円以下で乗れます。提携している大手航空会社のラウンジを使える場合もあり、夫婦や恋人とのんびり行く旅行には最適でしょう」