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自前主義の終焉とサプライチェーンでの
コラボレーションを促す「物流不動産」

「物流不動産」によって、製造業や流通業はより使い勝手のよい物流サービスを受けることができるようになった。日本の市場の特徴は、品質に対して高い要求と、需要が気まぐれで売れ筋商品がコロコロ変わることである。このような市場で生き残るには、物流サービスの高度化が不可欠であり、そのために物流不動産を生かせばよい。ただし、サプライチェーン・マネジメントが機能していないと、有効な手段とはなり得ない。

藤川裕晃
東京理科大学 経営学部 教授
ふじかわ ひろあき/早稲田大学理工学部、大学院修了後、建設会社やコンサルティング会社を経由して現職。大学で生産管理を学び、企業では情報システムや顧客の工場建設、さらにはサプライチェーン・マネジメントのコンサルティングを経験。中小企業診断士、技術士、博士(工学)。主な著書に『多層階工場レイアウト入門』(工業調査会)『サプライチェーン・マネジメントとロジスティクス管理入門』(日刊工業新聞社)、『生産マネジメント概論(技術編・戦略編)』(文眞堂)など多数。

 最近「物流不動産」というビジネスモデルが脚光を浴びている。好立地に、免震・耐震などの建築仕様を備え、環境へ配慮した先進的な賃貸型大型物流施設に需要が集まっているのだ。「このご時世にそんなぜいたくな」と眉をひそめておられる方々に応えて、どうしてこのビジネスモデルが成立するのかを詳述する。

「物流不動産」のビジネスモデルは
ユーザーにとって有効か

 1990年代に外資系企業が颯爽と登場して日本各地に高度なスペックの大型倉庫を建設。当時、多くの日本企業は、コスト削減するために、物流がアウトソーシング(つまり外注)の対象となっていた。

 国土交通省の「建築統計年報」によると、2万平方㍍を超える床面積の倉庫の割合が2001年ごろまで8%程度であったのが、一気に上昇に転じ、07年には約34%を占めるようになった(図表1参照)。

 そんな中、「物流不動産」という言葉を耳にするようになったが、物流不動産とは一体どのようなものなのか。それは先進大型倉庫を活用したビジネスモデルである。つまり、何種かのメンバー(企業)が集まり、お互いの役割を決めてお互いがWIN – WINとなるようにそれぞれの役割を構築したものである(図表2参照)。 

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