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国内立地件数が伸び悩む中、国内産業は高度な研究開発力を基盤にした産業構造へ転換を図っており、従来、国内で展開されてきた労働集約型の工場立地は進まなくなっている。企業誘致活動においては、地域産業・人材の高度化を進め、技術革新とともに成長が期待される新たな産業分野に着目した戦略が重要になっている。
(日本立地センター常務理事 徳増秀博)

国内先端産業は知識集約型に転換。
企業誘致は人材・産業力が決め手に

 工場立地動向調査結果(速報・経済産業省)によると、2011年上期(1月~6月期)の工場立地件数は403件、工場立地面積は419ヘクタールで、件数こそ前年同期を上回ったものの、依然として低い水準にとどまっている。今後も大幅な立地増加が見込めない中、経済産業省では、新たな雇用や産業創出などを目指す施策を打ち出している。その一つが11年度第3次補正予算で措置された「国内立地推進事業費補助金(2950億円)」だ。12年2月3日に1次公募採択結果が発表された。

企業から大きな反響
事業基盤強化に意欲

 同補助金は、震災を機に産業の空洞化が加速する恐れがあることを踏まえ、生産拠点・研究開発拠点に対して助成するもの。今後、約1兆2600億円の設備投資の呼び水となり、裾野産業に対し毎年約4兆9000億円の需要創出、約20万人の雇用創出が期待されている。対象分野は、A「サプライチェーンの中核となる代替が効かない部品・素材分野」、B「将来の雇用を支える高付加価値の成長分野」、C「AB両分野で事業を行う中小企業等グループ」。申請数は748件(うち中小企業358件)で採択数は245件(うち中小企業81件)、補助金総額は約2023億円となった。

 業種別の採択状況では自動車部品が最も多く全体の約25%、エコカー関連部品が主である。自動車関連産業は、震災によってキーデバイスの工場が被災し生産活動が停止したことから、サプライチェーンの再構築や工場再編によるリスク分散を目指した動きとなっている。

ポスト自動車として
期待される航空機産業

 業種別採択状況で注目されるのは、航空機部品関連が9件採択されたことである。

 航空機産業は部品調達のグローバル化が進展し、多くの日本企業が製造を担当している。米ボーイング社のB787が増産体制に入っている他、三菱リージョナルジェットの生産開始、防衛省と三菱重工が開発を進める先進技術実証機の機体製造などにより、部品生産発注の増加が見込まれ、その動きに呼応したものとみられる。

 航空機部品は、今後、大きな市場が形成されると予測されており、国内各地域では航空機産業への参入に向けた動きが活発化している。わが国の航空機産業が国際競争力を付け、航空機部品市場のシェア獲得によって、次世代の中核産業に発展することが期待される。

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