メールがビジネスのコミュニケーション手段の主役となって久しいが、最近ではメールを補完する新たなツールが急速に広まっている。それが“ビジネスチャット”だ。FacebookのMessengerやLINEのようなチャットがビジネスシーンでも活用されるようになってきている。メールとの違いや、ビジネスでチャットをどのように使うべきなのかについて専門家に話を聞いた。

メールで失われた
日本の企業力を取り戻す

 ビジネスコミュニケーションはひと昔前と比べて大きく変容している。その主役となっているのが、いまやそれなしにはビジネスが成り立たないともいわれるメールだろう。しかし一方で、メールの普及に伴って日本の企業力が低下しているという指摘もある。

 その代表的な例として挙げられるのが、日本企業の強さの源泉ともいわれた“集団の時間”の減少である。職場でのちょっとした雑談や、タバコ部屋や飲み会などでのコミュニケーションを通して、さまざまなアイデアが生まれ、それが結果としてビジネスの成功に結び付くことは少なくない。コミュニケーションの大半がメールに置き換わることで、そうした場がいつの間にか失われてしまっている。

 ビジネス上の作法に縛られ、肩肘を張った表現に終始するメールは、報告には向くが、議論には適さない。また相手の都合に関係なくメッセージを送ることができるメールの非同期性は、相手の実行を促す即時性のあるコミュニケーションにはならない。

 結果として、盛り上がり感やスピード感を伴ったコミュニケーションにつながりにくく、日本企業の強みである一体感が失われ、イノベーションの源泉だった熱い議論が失われつつあるというのだ。

コミュニケーション・ファクトリー
中川路 亜紀氏

 こうした中でメールを補完するツールとして注目されるのがチャットである。しかし、現状は十分活用されているとは言いがたい。チャットの特性を生かせば、失われつつある集団の時間を取り戻すことも可能だ。報告や連絡ばかりでポジショントークが横行するリアルな会議よりもオープンで、メールほど肩肘を張ることのない“チャット会議”ができれば、生産性の向上だけでなく、いま話題の働き方改革にも大きく貢献しそうだ。では実際にビジネスチャットをどのように使えばよいのか。

 メール文章をはじめとするビジネスコミュニケーションに詳しく、多くの著書を持つ中川路亜紀氏は「メールの世界は、もはや使い方やマナーが確立されています。新しいツールであるチャットをそこに押し込めてしまっては意味がありません」と指摘する。中川路氏にチャット会議を行う際の四つの「鉄則」を挙げてもらった。

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