『週刊ダイヤモンド』は、来年創刊100年を迎えるにあたり特別セミナーを開催した。第1回のテーマは「勝ち残る成長企業の条件」。各界の識者・著名人を招き、主に中堅・中小企業の経営者に向け直面する問題解決のヒントとなる講演やトークセッション、Q&Aを繰り広げた。さらに協賛各社のブース出展に、講演終了後の懇親パーティなど、参加者は大いに親交を深めた。

主催:週刊ダイヤモンド / 後援:ダイヤモンド経営者倶楽部
特別協賛:NTTドコモ
協賛:DAKS(三共生興)、カール F.ブヘラ(ブヘラジャパン)、理想科学工業

 

組織論や経営論、具体的なビジネスツールの提案のみならず、時にメンタルな話も織り交ぜながら、「今、求められる経営者、ビジネスリーダー像」が語られた。

 産業構造は急速に変化し、あらゆるビジネスがグローバル化している。そのような状況下、体力に限りのある「中堅・中小企業」が勝ち残るには、よりいっそう経営者の手腕が問われることになる。

 そういった悩める経営者の一助となるべく、今回初となる『週刊ダイヤモンド』特別セミナー「勝ち残る成長企業の条件」が催された。同セミナーは3月19日、東京都文京区のフォーシーズンズホテル椿山荘にて開催。読者を中心に、200人超の参加者が集まった。

 まずは弊誌編集長・鎌塚正良が、来年創刊100年を迎える『週刊ダイヤモンド』や本セミナー開催の経緯などについて、簡単に説明、挨拶を行った。

 講演の口火を切ったのは、プロ野球解説者で前中日ドラゴンズ監督の落合博満氏による特別講演「組織を動かすリーダーシップ」である。

 落合氏は現役時代の活躍もさることながら、監督就任後1年目からチームをリーグ優勝に導き、以後8年間華々しい戦歴を残してきた。

 落合氏は軽妙なトークで監督時代のエピソードや、組織のトップが考えるべきこと、自身のモットーなどを披露した。

新市場でシェア獲得のための3つの条件とは

NTTドコモ 法人事業部 第一法人営業部 モバイルデザイン推進室長・加藤裕一氏(左)と、ALMACREATIONS代表取締役、経営コンサルタント・神田昌典氏(右)

 続いては「新しい市場をつくる企業の条件」をテーマにトークセッションが行われた。鎌塚編集長が司会を務め、NTTドコモ法人事業部第一法人営業部モバイルデザイン推進室長の加藤裕一氏と、ALMACREATIONS代表で経営コンサルタントの神田昌典氏が出席。変わりゆく社会構造の中で着実に新たな市場を開拓できる企業の条件を、キーワードに基づきひも解いていった。そのキーワードとは、神田氏が自身の著書でも提唱している(1)経営の効率化、(2)革新性、(3)顧客との親近感である。ただしこれらのキーワードは、いずれも市場でシェアを獲得する上で重要ではあるものの「すべてを追求すると矛盾が生じ、組織が動かなくなる」と神田氏は注意を促した。

 セッションは加藤氏がキーワードに関する具体例を提示、それに対し神田氏がコメントする形で進められた。(1)については、オフィスとの報告書などのやりとりにスマートフォンを活用して営業マンの直行・直帰を可能とした企業を紹介した。

セッションで紹介された技術・サービスを展示しているNTTドコモのブースには、多くの来場者が詰めかけた

 (2)では、高齢者がタブレット型端末で受注情報を管理し、料理用の“ツマモノ”を料亭に出荷する徳島県上勝町の「葉っぱビジネス」にスポット。

 残る(3)ではタブレット端末でネイルデザインや顧客情報の管理を行い、顧客満足度の向上を図っているネイルサロンを取り上げた。

 各々の例に対し「欧米では在宅勤務が普及してきたが、日本では行政側の方針として認められにくい」などと神田氏はコメント。ただ「今後はチャットやクラウドミーティングなどの技術が進み、企業の内と外の垣根がなくなる」とも予想した。