少子化の中、独自の施策で子育て世代を呼び込む自治体がある。「こどもを核としたまちづくり」を市政の大きな柱としてきた兵庫県明石市の事例を紹介する。
2017年「明石」駅前の再開発でオープンした複合ビル(右)内にある「あかし子育て支援センター」。0歳児から利用できる施設もある 写真提供/明石市
兵庫県で近年圧倒的に人口が増えているのが明石市だ。南側には明石海峡が広がり、東側で神戸市に接する。JR「明石」「西明石」駅には新快速が停車し、「三ノ宮」駅まで15分、「大阪」駅までは40分弱という便利な立地だ。兵庫県内の自治体で軒並み人口の減少が続く中、明石市も同様に人口の減少が続いていたが、13年からは一転して5年連続で人口が増加。今年8月には29万7712人となり、過去最高を更新した。
特に昨年は、JR「明石」駅・「山陽明石」駅前の再開発が完了し、駅前に大規模マンションが竣工した影響などもあって、明石市への転入者数と転出者数の差は、約2400人の転入超過となっている。これを年代別に見ると、0~14歳が556人、20代が850人、30代が800人であり、主として子世代と、その親の世代が転入してきたことが分かる。子育て世代が増えた結果、新生児の数も15年から3年連続で増えた。現在、明石市の合計特殊出生率は、全国水準よりも高い1.64だ。
兵庫県内の自治体では、神戸市から約50%、加古川市から約20%、姫路市から約10%が明石市に転入している。県外では、国外を除いて、大阪府、愛知県、広島県からの転入者の割合が大きい。