ビジネスシューズは1万円台の靴を10足持つよりは、3万円台のクラシックな靴を3足そろえたほうがエシカルだ。なぜなら前者は使い捨てだが、後者はたとえ靴底に穴があくまで履きこんでも修理が可能だからである。
しかもグッドイヤーウエルト製法などのクラシックな作りの靴なら、足型が刻み込まれた中底はそのまま生かせるので、永続的に履き心地の良さが保てる。
ビジネスマンの足元を観察すると、せっかくよいモノを選んでいるのに、かかとやつま先が擦り減ったり、靴底が反り返った靴を平気で履いている方が少なくない。ご自分では気付かないだろうが、こうした状態をデキるビジネスマンは『靴が立っていない』と戒める。
クルマに譬えると靴底はタイヤのようなものである。どんな高級車でもタイヤがしょっぱくなったクルマは品が悪く映る。これと同じで、靴が立っていないと、男も立たないと見られても致しかたない。
東京渋谷区恵比寿南2丁目のカルピス本社裏にある『リファーレ』は、「靴をリフレッシュして男前を上げてくれる」と、近頃評判の靴屋。小売だけでなく、修理も磨きもできる『街の靴屋さん』をコンセプトに、7年前にオープンした。ここで修理の時期や方法を、取材した。
ヘニャっとした靴をよみがえらせるのに有効なのが、かかとの交換である。かかとを観察すると、3枚ほどの革を積層させた底にトップヒールと呼ばれる約5㍉厚のパーツが貼られている。トップヒールは革とラバー、全体がラバーの2種がある。このラバーのエッジが擦り減って、積層した革の部分へ達する前に交換するのが靴を格好よく履くコツだ。