日本企業におけるホワイトカラーの生産性の低さは、以前から指摘されてきた。そうした現状をオフィス変革という視点から打破しようとする試みが進められている。ICTを活用して多様な働き方を推進するテレワークもそうした試みの一つと捉えられる。労働生産性という観点から、オフィスのあり方を見直すべき時に来ている。

 2010年、日本はGDP(国内総生産)で中国に追い抜かれ、長く保ってきた世界2位の座を明け渡した。しかし実は、国民一人当たりのGDPで見ると、すでに00年前後から凋落傾向にあり、OECD加盟国中で15位から20位あたりが定位置。まさに「失われた20年」を実証するような結果になっているのである。

図1 米国と比較した主要先進国の労働生産性 出典:「労働生産性の国際比較 2011年版」(日本生産性本部 生産性総合研究センター)
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 この数字と表裏を成すのが、各国の物価水準など実情に合わせて補正したGDPを就業者数で割った「労働生産性」だ。日本生産性本部 生産性総合研究センターが12年2月に発表した「労働生産性の国際比較 2011年版」によると、日本はOECD加盟34ヵ国中で20位。主要先進7ヵ国では1994年から最下位を続けている。首位の米国を100とすると66.8と大きく差をつけられてしまっている(図1)。

 この調査では産業別の労働生産性も算出しており、それによると、工場が大きなウエートを占める製造業の生産性はOECD加盟国中10位と健闘している。やはり以前から指摘されているように、「ホワイトカラーの生産性の低さ」が日本の低成長の一つの要因となっているのが見て取れる。

ハード面だけでなく
働き方の変革も重要

 日本は先進国の中でもいち早く少子高齢化を迎えており、一人ひとりの労働生産性の向上は喫緊の課題。そうした観点に立って、経済産業省の主導で産学官が一体となって進められているのが「クリエイティブ・オフィス」という取り組みだ。