ネット銀行の伸長が著しい。営業を開始したのは2000年以降、順調に規模を拡大しており、口座数は約1000万、預金残高も約6兆円にも上る。その背景には、ネット銀行ならではの特色がある。
利便性と高利回りを両立
第一に挙げられるのは、「いつでも、どこでも」利用できる、利便性の高さだ。従来型の銀行では、窓口が開いているのは平日の9時から15時までというのが一般的。ATMの稼働時間はもっと長いが、夜間や休日にはATM利用手数料が課されたり、利用時間によって取引の種類に制限があるなど、使い勝手がいいとはいいにくい。
これに対してネット銀行は、原則として24時間いつでも取引できる。日中は忙しいなど、銀行窓口に営業時間内に出向くのが難しい人にネット銀行支持者が多いのは、このためだ。決済機能に関して従来型の銀行と比較してもそん色はなく、むしろ利便性で優位に立つのである。普及の進んだスマートフォンでPCと同等の機能を提供するネット銀行も増え、「いつでも、どこでも」の利便性は、ますます進化している。
その一方で、振込など資金移動時の手数料は割安で、預金金利も比較的高めに設定されている。これはもちろん、対面型の店舗を持たず、人件費等の経営コストを抑制しているからだ。効率経営のメリットを利用者がダイレクトに享受できるわけで、コスト感覚に敏感な人がネット銀行を選ぶというのもうなずける。
セキュリティ充実で資産運用面でも注目
セキュリティ対策に力を入れている点も見逃せない。銀行のネットサービスと言えば、決済などの際には、登録した暗証番号とともに事前に配布された乱数表の数字を画面の指示通りに入力するのが一般的だ。これに対して、1分間ごとに新しいパスワードを生成するトークンを無料配布して表示された数字を入力するなど、新たなしくみを取り入れるネット銀行が少なくないのである。システム自体のセキュリティレベルも高く、安心して利用できる。
さらに、資産運用の面でもネット銀行への注目が高まっている。金融機関の中でも信頼性の高い銀行で、ネットの特性を生かした多様なサービスが提供されているからだ。