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活発な管理組合活動や専門家の活用が
マンション再生を成功に導く

築30年以上の高経年マンションが全国で100万戸を超える中、老朽化したマンションの再生手段の一つとして、「建て替え」が注目されている。しかし、住民の合意形成や費用の捻出など、実現に至るまでにはさまざまな課題がある。マンション再生を成功に導くカギは何か、コンサルタントの山田尚之氏に話を聞いた。

 全国にあるマンションは約600万戸といわれる。そのうちの約100万戸が、1981年の耐震基準改正以前に施工されたマンションだ。それらは耐震性が懸念されるだけでなく、バリアフリーでなかったり設備が老朽化していたりとさまざまな問題を抱えている。こうした高経年マンションは、居住者の安全確保や住宅市街地の防災性の向上といった観点からも、何らかの策を講じる必要がある。

 マンション再生の手段には主に大規模修繕や耐震補強などを行う改修、建て替えがあるが、エレベーターの設置や間取り・天井高の変更などに対応できるのは建て替えだ。

建て替え実現の
カギを握る床面積

シティコンサルタンツ 取締役
山田尚之氏

再開発コーディネーター協会正会員。再開発プランナー。マンション建替えアドバイザー。著書に、『資産価値を落とさないマンションの選び方と住み方』(小学館)、『マンション建替え』(日本評論社、共著)。

 マンション建て替えのコンサルティングで多くの実績を持つシティコンサルタンツ取締役の山田尚之氏は、マンション建て替えの現状をこう語る。

 「容積率に余裕があるマンションでは、建て替えの際に現状よりも床面積を増やすことができるため、余剰住戸を生み出し売却することで、区分所有者はそれほど費用負担をせずに建て替えが可能です。ただし、それは立地などの条件に恵まれていることが前提で、今後は建て替えの条件が厳しいケースが増えることが想定されます」

 区分所有法では、建て替え決議には区分所有者の5分の4以上の賛成が必要とされているが、費用負担が大きくなれば、合意形成は難しくなる。

 しかし厳しい条件の中でも、未利用の隣接地を取り込んで建て替えを行ったり、敷地内に一定の公開空地を確保する「総合設計制度」を活用するなどして、床面積の増加を獲得する方法もある。高経年マンションの管理組合は早めに情報収集を始めたほうがいいだろう。

専門家の知恵を
有効活用

 マンションの建て替えの手法は主に二つある。一つは、区分所有者が土地建物を一度デベロッパーに譲渡し、建物完成後、それに見合った新しいマンションの権利を取得する「等価交換方式」。これに対し、区分所有者が設立する建て替え組合が主体となって、デベロッパーなどの事業協力者を選定し、行政の認可を受けながら事業を進めるのが「マンション建替え円滑化法による建て替え」だ。

 円滑化法を活用した建て替えの際、ポイントとなるのは、「外部の専門家の有効活用」だと山田氏は指摘する。

 「円滑化法はメリットも多く、ここ数年実現した事例の大半がこれを活用した建て替えです。ただ要所要所で総会を開き、住民の意見を調整しながら合意形成を進めていくわけですから、時間も手間もかかります。しかも区分所有者の皆さんは専門家ではありません。早期に課題を発見して適切な対応策を立てたり、住民間の摩擦を避けるためにも、準備段階の早いうちからコンサルタントや設計事務所などの専門家を入れることをお勧めします」

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